着色良好で栽培しやすく、食味の良いリンゴ早生品種「おぜの紅(くれない)(仮称)」


[要約]
リンゴ早生品種「おぜの紅(仮称)」は、着色に優れる特性を有し、外観が良好で、食味は甘酸適和である。収穫前落果が少なく、短果枝の着生が良好で栽培しやすい。

[キーワード]リンゴ、早生品種、着色良好、おぜの紅(仮称)

[担当]群農技セ・中山間地園芸研究センター、果樹研リンゴ研究チーム
[代表連絡先]電話:0270-30-7799
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  近年の地球温暖化現象が農業生産に与える影響は極めて大きい。リンゴ栽培においても、果皮の着色不良や果肉の軟化傾向がすすみ、地球温暖化がその原因と考えられている。特に「つがる」を中心とする早生品種では、良品生産が難しくなってきている。そこで夏期の高温条件下でも着色が優れ、食味の良好な早生の新品種を育成する。

[成果の内容・特徴]
1. 農林水産省果樹試験場盛岡支場(現 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所・リンゴ研究拠点)が育成した「盛岡47号」の自然交雑種子を1990年度に播種し、実生35個体を養成した。その中から選抜された系統「47-5」が有望であると認められ、2007年度に果樹研究所との共同研究の成果として品種登録出願した。
2. 樹勢は強く、直立型の樹姿で(表1)、枝梢は太く、短果枝の着生が良好である。
3. 8月下旬から9月上旬に成熟する早生品種で(表1)、収穫前落果は少なく、玉揃いが良好である。また、果面障害の発生が少なく、裂果もほとんどない。
4. 果重はM.26台樹では300〜400g程度、大きさは「つがる」と同程度である。果皮は濃赤茶、縞は不明瞭で着色性に優れ(図1)、外観は良好であるが、スカーフスキンが 発生する。
5. さびの発生はほとんどなく、果汁は中〜多である。果肉はやや粗く、やや軟らかい(表2)。食味は甘酸適和、渋みは少ない。香りは良好である。蜜入りはなく、心かびの発生は認められていない。
6. 日持ちは室温下で約10日と考えられ、「つがる」に比較して、着色、外観や日持ち性に優れる(表3図1)。

[成果の活用面・留意点]
1. リンゴ新品種「おぜの紅(仮称)」は、群馬県と果樹研との共同研究による成果であり、現在、種苗法に基づく品種登録申請中である。群馬県と果樹研との共同研究契約における優先実施権に基づいて、当面は群馬県内に限定して普及を図る予定である。
2. 試験圃場(群馬県沼田市井土上町)においては、樹上に9月中旬まで着果させることが可能と考えられるが、果肉の軟化が進むので8月下旬から9月上旬の収穫に心がける。
3. 新梢長、新梢停止時期、新梢停止率などから判断し、多肥を控えて樹勢を調整する。


[具体的データ]

表1.「おぜの紅(仮称)」及び「つがる」の生育特性(2007年)
表2.「おぜの紅(仮称)」及び「つがる」の果実特性(2004〜2007年)
表3.「おぜの紅(仮称)」及び「つがる」の室温貯蔵(24〜26℃)下での日持ち性(2007年) 図1「おぜの紅(仮称)」(上段)と「つがる」(下段)果実の外観

[その他]
研究課題名:リンゴ新品種の育成試験
予算区分:県単
研究期間:1990〜2007年度
研究担当者:堀込 充(群馬県)、中條忠久(群馬県)、阿部和幸(果樹研)、
                  岩波 宏(果樹研)、古藤田信博(果樹研)、森谷茂樹(果樹研)

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