ニホンナシに対する1-メチルシクロプロペンの低コスト短時間処理方法


[要約]
500kg規模の「幸水」果実に対してポリエチレン製の大型角底袋を利用し、濃度1ppmの1-MCP5時間処理で、収穫後8日間以上鮮度を維持できる。空気中の水分により1-MCPガスが発生するリボンタイプのAF-2L剤でも十分な鮮度保持効果が得られる。

[キーワード]ニホンナシ、鮮度保持、1-MCP、大規模処理、AF-2L

[担当]埼玉農総研セ園研・果樹担当
[代表連絡先]電話:0480-21-1141
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  ニホンナシ等に対する鮮度保持効果が明らかにされている1−メチルシクロプロペン剤(1−MCP)は、ガス状の物質であり、安定した濃度で曝露処理するするためには、気密性の高い空間に一定時間貯留する必要があるが、ニホンナシの場合そのような施設は無く、集荷された果実を大量に処理する方法が課題となる。そこで、低コストでしかも輸送中の処理が可能な方法として、大型のポリエチレン製袋を利用した短時間処理および、加水の必要の無い新剤型AF-2Lでの処理について検討する。

[成果の内容・特徴]
1. ポリエチレン製角底袋(厚さ0.1mm、寸尺1.35×1.35×1.8m)を用いた500kg規模の「幸水」果実に対する1-MCP(AF-1、処理濃度1ppm)の室温下での5時間処理により(図1)、収穫後7日、13日目の表面色、食味熟度について、無処理区と比較して有意に鮮度を保ち、24時間処理区と比較して同程度の鮮度保持効果が得られる(表1)。
2. 袋の開口部は、市販の屋内電線配置用パッキング資材、結束資材(ビニル結束バンドを専用器具で縛る)を用いて、比較的簡便に閉口密閉作業ができる(図2)。
3. AF-2L剤(空気中の水分によって1-MCPガスが発生する付箋状の剤:1cm/1ppm/10L)を袋の容積分入れた処理によっても、8日以上の鮮度保持効果が得られる(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 1−MCP剤は登録申請中であり、現在使用はできない。
2. 大型袋処理するためのコストは、AF-1は3円/kg、AF-2Lは4円/kg程度で、ポリ袋(1.35×1.35×1.8m)は、1000枚単位で900円/枚(18円/ナシ10kg箱)程度、結束用資材は2625円(小売)である。
3. 高温(25~30℃程度)下でナシ果実を密封状態に置くと、呼吸により空間内の炭酸ガス濃度が上昇し、20時間程度の密封でも果肉障害を引き起こす可能性があるので、処理は冷涼な場所で短時間に行う、処理後は開封して通風する等の対策が必要である。
4. 1-MCP剤はAF-1は30分、AF-2Lは約1時間以内にガスの発生が終わるので、袋等の閉口密閉作業はできるだけ早く行う。


[具体的データ]

図1 ポリエチレン製角底袋を利用した1-MCPの大規模処理 図2 上:電線配置用パッキング資材<下:結束資材(左:器具、右:閉めた状態)を用いた袋の閉口>
表1 ポリエチレン製角底袋を用いた1−MCP(AF-1)の5時間処理における箱積の上下の違いが「幸水」の日持ち性に及ぼす影響
表2 ポリエチレン製角底袋とAF-2L剤を用いた1−MCPの5時間処理が「幸水」の日持ち性に及ぼす影響

[その他]
研究課題名:ニホンナシにおける1−MCPを利用した高品質果実出荷技術の確立
予算区分:交付金プロ(果実等輸出)
研究期間:2005〜2007年度
研究担当者:島田智人、浅野聖子、須賀昭雄、藤生恵美子

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