カキ「蓮台寺」の葉のアストラガリン含量と加工による影響


[要約]
カキ「蓮台寺」葉のアストラガリン含量は7から11月の間では大きな差はない。また、通風乾燥葉粉末を加熱してもアストラガリン含量は減少しない。

[キーワード]カキ、葉、アストラガリン、フラボノイド

[担当]三重科技セ・農業研究部・園芸研究課
[代表連絡先]電話:0598-42-6358
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  カキの葉にはアストラガリン等のフラボノイド類が含まれ、これが花粉症やアトピー性皮膚炎等のアレルギー症状の緩和に有効であるとの研究報告がなされ、注目されてきている。そこで、三重県伊勢志摩地域特産のカキ「蓮台寺」葉の採取時期、乾燥方法および加熱処理によるアストラガリン含量の違いを明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 7から11月の間では7月採取の成葉のアストラガリン含量より有意に高い時期はない(図1)。
2. 7月採取の幼葉は成葉よりやや多い傾向にある(表1)。
3. 7月採取の葉のアストラガリン含量は、約60℃で通風乾燥後、粉末化しても、凍結乾燥葉粉末と変わらない(データ省略)。
4. 葉粉末を水に混ぜて100℃・10分間、小麦粉ペーストに混ぜてオーブンで180℃・10分間加熱しても、アストラガリン含量は減少しない(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. カキの葉は、農薬取締法上では野菜類と見なされるため、野菜類に登録のある農薬を使用する。
2. 葉粉末は残留農薬等の検査を行うのが望ましい。
3. 葉粉末は多量に使用すると苦味が強く、過剰摂取となる可能性もあるので注意する。
4. 葉粉末はクッキー・ケーキ等の食品への利用が見込まれる。


[具体的データ]

図1 カキ「蓮台寺」の成葉における時期別アストラガリン含量 表1 カキ「蓮台寺」の幼葉および成葉におけるアストラガリン含量(2004年7月採取)
表3 カキ「蓮台寺」通風乾燥葉粉末の小麦粉ペーストへの混合時における加熱処理がアストラガリン含量に及ぼす影響(2005年7月採取)
表2 カキ「蓮台寺」通風乾燥葉粉末の懸濁液における加熱処理がアストラガリン含量に及ぼす影響(2005年7月採取)

[その他]
研究課題名:アグリビジネス化支援研究開発事業
予算区分:県単
研究期間:2004〜2006年度
研究担当者:三井 友宏、市ノ木山 浩道、大野 秀一、前川 哲男、
                  伊藤 寿(三重県中央農業改良普及センター)

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