リンゴ新品種「秋星」の収穫開始期判定法


[要約]
リンゴ中生品種「秋星」の収穫開始日は、満開後121日から150日の平均気温から予測することができる。さらに、得られた予測日の数日前から市販の希ヨードチンキによる染色を行い、専用デンプン指数チャートに照らすことで収穫開始期を判定できる。

[キーワード]リンゴ、秋星、収穫開始期、気温、希ヨードチンキ、デンプン指数

[担当]石川農総研・育種栽培研究部・園芸栽培グループ
[代表連絡先]電話:076-257-6911
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  石川県育成のリンゴ「秋星(しゅうせい)」は、外観ならびに甘味と酸味のバランスが良いなど果実品質が優れる中生品種である。しかし、果実全面が着色するため、果皮色のみに基づいて収穫した場合、未熟果を収穫する恐れがある。そこで、収穫開始期の判定法を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 満開後121日から150日の間の平均気温と満開から収穫開始までの日数には相関が認められ、回帰式y=2.3965x+102.13が得られた。この回帰式により収穫開始日を予測することができる(図1)。
  ※回帰式、y:満開から収穫開始までの日数、x:満開後121〜150日の平均気温
2. 熟度とデンプン指数の相関は高く(図2)、成熟に伴うデンプン指数の変化を写真にした専用デンプン指数チャートを生産者がわかりやすいように作成した(図3)。
「秋星」の場合、これを用いてチャート値が2.5になった時点で収穫を開始する。
3. デンプン指数の測定にはヨウ素・ヨウ化カリウム液(水100mlにヨウ化カリウム5gを溶かし、さらにヨウ素1gを溶かしたもの)を用いるのが一般的だが、薬局などで市販されている希ヨードチンキ(ヨウ素3%、ヨウ化カリウム2%、エタノール70%)を用いても同様に測定できる(図4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 図1の予測式は過去4年間の石川県農業総合研究センター露場気象データをもとに算出していることから、あくまでも収穫開始日の目安とする。
2. 「秋星」の収穫適期の果実品質は、糖度が13度以上、糖酸比が25以上、デンプン指数が2.5以下である。
3. 「秋星」の苗木販売は石川県内に限られる。


[具体的データ]

図1 満開後121〜150日の平均気温と満開から収穫開始までの日数との関係(2004〜2007年) [n=4] 図2 熟度官能調査Zとデンプン指数Yの関係(2006年)[n=45]
図3 「秋星」専用デンプン指数チャート 図4 試薬の違いが染色面積割合Zに及ぼす影響(2007年) [n=13]

[その他]
研究課題名:本県育成リンゴ品種‘秋星’の栽培技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2004〜2007年度
研究担当者:山内大輔、松田賢一

目次へ戻る