園芸品種と野生種の種間交雑により育成された芳香シクラメンの特徴


[要約]
園芸品種(Cyclamen persicum)と野生種(C. purpurascens)の種間交雑により育成された芳香シクラメンは、対照品種と比較して、香りと香気成分が異なり、花は小さく、受精後の花柄が螺旋状になる。

[キーワード]芳香シクラメン、花色、香り、香気成分、形態

[担当]埼玉農総研・園芸研・野菜花担当
[代表連絡先]電話:0480-21-1113
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  シクラメンの香りを改良するために、園芸品種(Cyclamen persicum)と野生種(C. purpurascens)の種間交雑により種子稔性のある雑種を作出し、この雑種の系統間交雑と選抜をとおして芳香シクラメンを育成した。そこで、育成した芳香シクラメン、「麗しの香り」(うるわしのかおり)、「孤高の香り」(ここうのかおり)、「香りの舞い」(かおりのまい)について花の色、香り、形態に関する特性を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 芳香シクラメン3品種は種子繁殖が可能である(データ省略)。
2. 芳香シクラメン3品種は対照品種(既存の園芸品種)と同様の花色であるが、対照品種よりも花が小さい(表1図1)。
3. 芳香シクラメン3品種は、対照品種(既存の園芸品種)と比較して、主要香気成分の種類が異なり、香りの官能評価も異なる(表1)。
4. 対照品種(既存の園芸品種)は受精後に花柄が弓状に変化するが(図2B)、芳香シクラメン3品種の花柄は、受精後に螺旋状になる(図2A)。この形質は、既存の園芸品種と芳香シクラメンを識別するための指標となる。
5. 香りの質、主要香気成分および受精後の花柄の変化を除いた形質について、芳香シクラメン3品種は既存の園芸品種と同様であることから、鉢物として利用できる。

[成果の活用面・留意点]
1. 現時点で、育成品種の種苗の供給は埼玉県内に限定されている。


[具体的データ]

表1 芳香シクラメンの特徴
図1育成品種 A:「麗しの香り」、B:「孤高の香り」、C:「香りの舞い」 図2 受精後の花柄 A:螺旋状 B:弓状

[その他]
研究課題名:特産花き品種の育成
予算区分:県単、高度化事業
研究期間:1987〜2008年度
研究担当者:石坂宏、植松盾次郎(埼玉農総研・園芸研)、栗原康、早乙女孝((株)小川香料)
発表論文等:品種登録出願番号(「麗しの香り」第16836号、「孤高の香り」
                                             第16837号、「香りの舞い」第19389号)

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