シクラメンの日持ち性は出荷前1ヶ月の施肥窒素量を上げると高まる


[要約]
シクラメンの日持ち性は、出荷前1ヶ月間の施肥窒素濃度を上げ、光合成能力を高めることで増す。この時、日持ち性の指標として葉部TOC(全有機炭素量)全量が有効であり、出荷時点で1200〜1300mgを担保する窒素の肥培管理を行う必要がある。

[キーワード]シクラメン、日持ち性、施肥窒素量、TOC、光合成

[担当]三重科技セ・農業研究部・園芸研究課
[代表連絡先]電話:0598-42-6354
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  シクラメンは12月から春先まで開花期の長い鉢花として冬季鉢花の代表的な花きであるが、生産量の増大と購入後の日持ち性の問題から市場価格は、一部贈答用を除いて低迷してきている。このため、出荷後の日持ち期間の保証は、商品価値の向上に繋がることが期待される。
  そこで日持ち性に与える肥培管理条件を明らかにし、日持ち性評価のための指標を設定する。

[成果の内容・特徴]
1. 肥培期間中の窒素濃度管理の違いが品質(鑑賞価値評点)に与える影響は、出荷時点の差に比べて高温低照度の劣悪条件の室内に3〜4週間置き、劣化が生じた段階での差の方が顕著となる(図1)。
2. 入室後の観賞価値評点の減衰(劣化)は、出荷前1ヶ月間(11月後半〜12月前半)の施肥窒素濃度の影響が大きく、100ppmまでの濃度範囲において窒素濃度を高めることで観賞価値評点の減衰は小さくなり、日持ち性を高めることができる(図2)。
3. 高温低照度の劣悪条件室内で3週間経過し、劣化が顕著となった時点の観賞価値評点は、出荷時点の葉部TOC全量と正の相関関係を示し、出荷時のTOC全量が高い株ほど日持ち期間が長くなる。3〜4週間後でも高い観賞価値評点(3.0)を維持させるには、出荷時の葉部TOC全量が1200〜1300mg以上あることが望ましい(図3)。
4. 葉部TOC全量と積算窒素濃度とは正の相関関係を示し、出荷時の葉部TOC全量1200mg以上確保するための期間積算窒素濃度は175ppm以上が必要となる。日持ち性を高めるための養液管理条件としては、出荷前1ヶ月間(3期)の養液窒素濃度を100ppmとすると、1期25ppm、2期50ppm程度で管理することが望ましい(図4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本成果は日持ち性保証を考える上での基礎資料として活用できる。
2. 本成果はシュトラウスを底面給水同時施肥で栽培する時の条件であり、品種や施肥管理法が異なる場合には検討を要する。
3. 本成果の日持ち性は、室温25℃、照度2000Lxの高温低照度条件下で検討したものである。低温低照度条件下では出荷時の窒素濃度を高めると徒長ぎみになり、呼吸による植物体の消耗とは別の要因で観賞価値が低下することがある。
4. TOCは全有機炭素量であり、葉部のTOCは主として光合成生産物(水溶性デンプン)及びその代謝物(糖等)量を示す。株全体の葉部のTOC量は次の式で計算する。
           葉部TOC全量= 5枚葉TOC含量×全葉数÷5


[具体的データ]

図1 室内条件における観賞価値評点の推移 図2 出荷(12月中旬)前1ヶ月間の施肥窒素濃度が3週間後の観賞価値評点の減衰に与える影響
表 底面給水施肥濃度
図3 葉部TOC全量と劣化(観賞価値評点) との関係 図4 施肥窒素濃度と葉部TOC全量との関係

[その他]
研究課題名:三重県産シクラメンの日持ち保証等高品質化のための生産技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2004〜2006年
研究担当者:原 正之、西山富紀子、鎌田正行

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