送風処理による輪ギク「白粋」の葉焼け症状防止と日持ち向上技術


[要約]
輪ギク「白粋」の9月開花において生殖成長期に送風処理すると、葉焼け症状の発生が大幅に軽減し、切り花の日持ちが向上する。

[キーワード]キク、葉焼け症状、送風処理、日持ち

[担当]愛知農総試・東三河農研・花きグループ
[代表連絡先]電話:0532-61-6235
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  愛知県が育成した秋系輪ギク「白粋」は純白で形の整った大輪花であるが、葉焼け症状(写真1)を起こしやすい性質がある。葉焼け症状は、高温期に発生すること、蒸散抑制剤の葉面散布により発生率が高まることから、高温と蒸散不良が原因と考えられる。そこで、送風処理による葉焼け症状の防止効果と切り花の日持ちに及ぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 葉焼け症状の発生株率は、送風無しの38.9%に対し送風有りでは5.3%となり、送風処理によって葉焼け症状の発生が大幅に減少する。また、葉焼け症状発生株の被害葉数も、送風無しの3.8枚に対し送風有りでは1.8枚となり、送風処理によって被害程度が小さくなる(図1)。
2. 送風処理により開花が2.6日早くなる(表1)。
3. 切り花の日持ち期間は、送風無しの13日に対して送風有りでは20日となり、送風処理によって日持ち期間が大幅に延長される(図2)。
4. 明期の施設内平均気温は、送風無しの32.5℃に対し送風有りでは30.8℃となり、送風処理によって気温が約2℃低下する(データ略)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本試験の結果は、上部以外の側面4面を0.05mm厚のポリフィルムで覆ったチャンバー内で得られたものである。
2. 成長点付近の風速は、送風有りが0.8〜1.5m/S、送風無しが0m/Sであったが、葉焼け症状防止および日持ち向上に最適な風速を今後検討する必要がある。
3. 送風処理により茎長が5cm程度短くなる。
4. 葉焼け症状の発生しやすい品種で、葉焼け発生防止技術として利用できる。


[具体的データ]

(左)写真1 「白粋」の葉焼け症状 / (右)表1 生殖成長期の送風処理と生育・開花1)

[その他]
研究課題名:キクの育成系統の地域適応性と栽培方法
予算区分:県単
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:石川高史、小久保恭明

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