エブ&フローシステムにおけるサツキの窒素濃度管理による栽培期間短縮法


[要約]
サツキのコンテナ栽培において、エブ&フローシステムを利用した最適な窒素の管理栽培を行うことで、慣行コンテナ栽培と比較して最大9ヶ月栽培期間を短縮し、品種によっては鉢上げから最短3ヶ月で量販店規格サイズに仕上げることができる。

[キーワード]サツキ、エブ&フローシステム、コンテナ栽培、無機態窒素

[担当]三重科技セ・農業研究部・園芸研究課
[代表連絡先]電話:0598-42-6354
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  植木類の需要は、量販店等で増加傾向にあり、輸送性、取り扱いの簡便性からコンテナ栽培が急速に伸びている。サツキでは同栽培法の導入が比較的遅れたが、慣行コンテナ栽培では鉢上げから約12ヶ月間で出荷規格に育成する体系が組まれている。しかし、コンテナ栽培は生産コストが高いことから生育期間短縮の生産技術の確立が求められている。
  そこで、平成16年度に本県が育成したサツキ新品種「伊勢路紅」、「伊勢路紫」、「伊勢小町」を対象に、安定した施肥管理および省力化を図るためエブ&フローシステムに着目し、施肥法の違いによる生育特性を解明し、栽培期間短縮法を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 養液の無機態窒素濃度を20〜50ppm(NH4-N:NO3-N=1:1)で管理することで、鉢上げ後、量販店の流通規格(高さ25cm株張り25cm)に到達するまでの期間を、慣行コンテナ栽培と比べて伊勢シリーズで9ヶ月、「三重サツキ」で7〜8ヶ月短縮できる(図1)。
2. 生育期間の短縮が期待できる無機態窒素の構成は、品種によって異なる。「伊勢小町」はNH4-N比率が高いほど、「伊勢路紅」はNO3-N比率が高いほど適し、「伊勢路紫」はNH4-N:NO3-N=1:1が適する(図2)。
3. 各品種とも高濃度の無機態窒素によって生育障害が発生するが、窒素濃度50ppm(NH4-N:NO3-N=1:1)以下では発生しない。また、障害の発生には無機態窒素組成により違いがあり、「伊勢路紅」及び「伊勢路紫」はNH4-N耐性が低く、「伊勢小町」及び「三重サツキ」はNO3-N耐性が低い(図3)。
4. 以上のことから、無機態窒素濃度20〜50ppm(NH4-N:NO3-N=1:1)で生育障害の発生がなく栽培期間が9ヶ月短縮されることから、共通養液管理での最適無機態窒素濃度は20〜50ppm(NH4-N:NO3-N=1:1)である。また、各品種の無機態窒素の好適性に応じた養液管理を行うことで栽培期間のさらなる短縮が期待できる。

[成果の活用面・留意点]
1. サツキのコンテナ栽培農家における新栽培体系として活用できる。
2. 13cm挿し穂苗を15cmポットに4月に鉢上げし、エブ&フローシステムにより各区の養液組成を維持するため養液交換は1週間ごととし、無加温温室にて栽培した結果であることに留意する。
3. エブ&フローシステムで管理した場合、葉が肥大傾向になるなどの問題があり、商品性への検討を要する。


[具体的データ]

図1 無機態窒素濃度が生育期間短縮に及ぼす影響
図2 無機態窒素比率が生育に及ぼす影響
図3 窒素過剰による品種別障害発生程度

[その他]
研究課題名:新サツキのコンテナ栽培法の開発
予算区分:県単
研究期間:2005〜2007年度
研究担当者:西山富紀子、原正之、鎌田正行

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