ルスカスの試験管内増殖法


[要約]
ルスカス種子から無菌的に取り出した胚を、ショ糖濃度3%の1/2MS基本培地に播種することで、通常の種子繁殖より効率よく発芽個体が得られる。発芽した植物から生じたシュートはNAA0.54μM添加した基本培地に置床することで発根が促進される。

[キーワード]ルスカス、無菌播種、NAA

[担当]福井園試・花き研究グループ
[代表連絡先]電話:0770-32-0009
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  ルスカスは北部シリアからイランに自生するユリ科の植物で、切り葉用として栽培されている。本植物の増殖は、種子の発芽率が低いことと、苗の生育が遅いことから、大量増殖は困難であった。そこで,発芽率の向上と増殖を目的に、ルスカスの無菌播種法とシュートの分割による増殖法を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 図1にルスカスの無菌播種と増殖法を示した。
  10〜12月に、熟したルスカス種子から無菌的に取り出した胚を、ショ糖濃度3%の1/2MS基本培地に播種することで、通常の実生より高い発芽率で無菌植物が得られ、初期生育が早い(表1写真1)。
2. 無菌播種により得られた植物を23℃、27μmol・m-2・S-1の明下で培養することで、シュートが発達し、分割により増殖できる(図1)。
3. 分割したシュートは、NAAを0.54μM添加した基本培地に移すことで発根が促進され、根量も多い(図2)。これよりNAA濃度が濃い場合、こん棒状の奇形根が発生する株が出現する。
4. シュートの発生が悪い場合は、無菌植物を分割して、チジアズロン1〜2μM含む培地で培養することで、80日後に株あたり約3本のシュートが発生し、増殖率は約3倍となる(データ略)。

[成果の活用面・留意点]
1. 取り出す胚の大きさは、胚乳部分が多いと発芽が遅れやすいため、胚のみをとりだして用いる。ただし、胚摘出時に胚を傷つけると、カルス化した奇形が生じやすいため、注意する。
2. 出葉した株から分割したシュートは、置床後すぐに出葉するため、生育が早い。
3. 順化用土には赤玉土を用いると発根が良好である。
4. 順化中は、乾燥と強日射で株が弱るので、減光下で栽培し、乾燥しないよう管理する。


[具体的データ]

図1 ルスカスの無菌播種と増殖法
表1 無菌播種時の種子形状が発芽に及ぼす影響 写真1 無菌播種と通常播種の生育状況(左:無菌播種42日後、右:通常播種140日後)
図2 NAA添加量がシュートの発根株率に及ぼす影響と形状

[その他]
研究課題名:栄養繁殖性花き類の低コスト種苗生産技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2005〜2007年度
研究担当者:坂本浩、岩本由佳、大城閑(福井県立大学)

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