丸くて大玉の子いも用サトイモ新品種「ちば丸」の育成


[要約]
子いも用サトイモ新品種「ちば丸」は、子いも形状が「えび」、孫いも形状が「丸」で、大玉で、揃いが良いことから、調理・加工時の歩留りが高く、良品収量が多い。

[キーワード]サトイモ、新品種、放射線、子いも用品種、調理・加工適性

[担当]千葉農総研・育種研究所・畑作物育種研究室
[代表連絡先]電話:0475-32-3378
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  千葉県のサトイモ生産は、生産額38億円(平成17年度)で全国1位であるが、他産地や輸入品の増加により、苦しい販売を強いられている。こうした状況に対処する1方法として、選別機を効率的に稼働させるために、販売主体である孫いもの形状が丸い子いも用品種が求められている。そこで、良質なサトイモ生産を維持、発展させるために、「形状が丸く、大玉で、調理・加工性に優れ、収量性が高い」子いも用品種を育成する。

[成果の内容・特徴]
1.育成経過
  1)   1995年に「土垂」の種いもの頂芽に軟X線(5〜50kR)を照射し、240個を圃場で栽培した。軟X線を照射すると、照射当年(VM1)は生育が抑制され、丸い系統が74%だが、照射翌年(VM2)の丸い方向へ変異した系統は8%と低い(表1)。
  2)   1996年からは、生育が良好で、形状が丸く、収量性が高く、いもの障害発生が少ないことを育種目標に選抜を行い、「千葉1号」を選定した。その後、生産力検定、現地適応性及び特性調査を行い目標とする特性が認められ、「ちば丸」と命名した。2005年4月に登録申請、2007年3月に品種登録されている。
2.「ちば丸」の特性
  1)   中晩生品種で、収穫適期は11月である。「土垂」と比較して、総収量は同程度、良品(障害や扁平、欠き口が少なく、形状が良いいも)の収量は約20%多く、1,200kg/10a程度である(表2)。
  2)   孫いもは、形状が「丸」で、「土垂」に比べて数はやや少ないが、1個当たりのいも重は重い(表2写真1)。
  3)   孫いもの形状が揃っているので、手作業となる等級選別労力を軽減でき、選別機を効率的に稼働できる(図1写真1)。
  4)   皮むき時の廃棄物量は「土垂」の約8割であり、調理・加工時の歩留りが高い。また、ぬめりが少ないため、手が滑りにくく、皮むきがしやすい(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 「ちば丸」は他のサトイモ同様に、無選抜で採種すると形状が長くなりやすい。株選抜して採種するか、定期的に優良種苗に更新する。
2. 許諾元は千葉県である。当面は千葉県内での普及を行う。県外での許諾については、その後、別途協議を行う。


[具体的データ]

表1 軟X線照射がサトイモの形状に及ぼす影響
表2 サトイモ「ちば丸」の収量性といもの特性
図1 孫いもの形状指数別発生割合
写真1 分球次数別のいもの形状

[その他]
研究課題名:サトイモの新品種育成
予算区分:県単
研究期間:1996〜2004年度
研究担当者:鈴木健司、小原麻里、猪野誠、竹内妙子、伊藤実佐子、崎山一、牛尾進吾
発表論文等:鈴木ら(2006)千葉農総研報、5:65-74
                  品種登録(2007年3月15日)−登録番号第15137号

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