β−カロテンの多い中玉トマト新品種「ちばさんさん」の育成


[要約]
トマト新品種「ちばさんさん」は、果実の重量が30g前後でオレンジ色の中玉トマトである。一般的な大玉トマトに比べて、β−カロテン及びビタミンCが多く、食味も良好である。また、TMV(Tm-2型)、萎凋病(レース1)に抵抗性である。

[キーワード]トマト、中玉、育種、β−カロテン、良食味

[担当]千葉農総研・育種研究所・野菜花き育種研究室
[代表連絡先]電話:0475-32-3379
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  近年、健康志向の高まりから、栄養成分を多く含み、食味、色などに特徴のあるトマトが望まれている。そこで、β−カロテンやビタミンCが多く、糖度が7以上で食味が良いトマト品種を育成する。

[成果の内容・特徴]
1.育成経過
     「ちばさんさん」は、「Ni2101-08」(市販品種「オレンジキャロル」の自殖選抜系統 「nv-1」と市販品種「ビタミンエース」の自殖選抜系統「育プロ2号」の交雑系)を種 子親に、「育プロ2号」を花粉親とした一代雑種である(図1)。
2.「ちばさんさん」の特性
  1)   果実の重量が30g前後のオレンジ色の中玉トマトである(図2)。
  2)   完熟果のβ−カロテン含量は「レッドオーレ」に比べて約2倍、「ハウス桃太郎」に比べて約5倍である。ビタミンC含量は「レッドオーレ」と同等、「ハウス桃太郎」に比べて約2倍である(図3)。
  3)   糖度は約7で食味が良好である。収穫全期間を通して塩水選で沈む果実の割合が高い(表1)。
  4)   早生で、「レッドオーレ」、「ハウス桃太郎」に比べて収穫が7日程度早い。
  5)   収量は、「レッドオーレ」と同等で、「ハウス桃太郎」の5〜6割程度である。上物率は「レッドオーレ」より劣るが、「ハウス桃太郎」に比べてが高い(表1)。
  6)   TMV(Tm-2型)、萎凋病(レース1)に抵抗性である。

[成果の活用面・留意点]
1. 9月から1月播種の半促成栽培(加温型及び無加温型)、2月から3月播種の雨除け栽培に適している。ハウス抑制栽培やハウス促成栽培では、糖度が上がりにくい。
2. ハウス内の気温は、日中は23〜28℃で管理し、夜間は11〜12℃を目標にやや高めの夜温管理とする。
3. 土壌病害虫の萎凋病(レース2)、根腐萎凋病、褐色根腐病、ネコブセンチュウ、青枯病等には抵抗性がないので、これらの病害虫が発生する圃場では、抵抗性台木に接ぎ木する。台木にはTMV抵抗性遺伝子型がTm-2型またはTm-2a型を有する品種を用いる。
4. 種子配付は、当分の間、千葉県内に限定する。


[具体的データ]

図1 育成図 図2「ちばさんさん」の着果状況
図3 完熟果のβ−カロテン含量及びビタミンC含量
表1 株当り収量及び果実特性

[その他]
研究課題名:トマトの新品種育成
予算区分:県単
研究期間:1997〜2006年度
研究担当者:鈴木秀章、本居聡子、牛尾進吾、小原麻里、草川知行
発表論文等:出願公表(平成19年8月3日)−出願番号第20817号

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