春どり収量が高い寒冷地露地普通栽培用アスパラガス「どっとデルチェ」の育成


[要約]
寒冷地のアスパラガス露地普通栽培に適した新品種「どっとデルチェ」は、ウエルカムに比べて春どりでの収量性に優れる。収穫物は太ものが多く、2L及びL級規格の比率が高い。また、斑点病の発生は従来品種に比べて少ない。

[キーワード]アスパラガス、寒冷地、露地普通栽培、斑点病

[担当]長野野花試・育種部、野菜部
[代表連絡先]電話:026-278-6848
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  長野県のアスパラガスは、水田転換作物として定着化が図られ、北信地域を中心として全県にわたり産地化が図られている。しかし、栽培面積は北海道に次ぐものの、単収は全国平均を大きく下回っている。県内の主要作型は寒冷地の露地普通栽培であり、春どりの収量増加は農家の収入増加に直接結びつく。そこで寒冷地の露地普通栽培に適した良品質で春の多収品種を育成する。

[成果の内容・特徴]
1.育成経過
     「どっとデルチェ」は、「ポールトム」由来の選抜雌系と、全雄系品種「ガインリム」由来のを交配した一代交配種である。
2.品種特性
  1)   「どっとデルチェ」は、特に春どりの収量性に優れ、対照品種より多収となる。しかし、長期どりする場合、特に無灌水ほ場では夏秋どりの収量が低下するため、総収量は対照品種と変わらない。
  2)   「どっとデルチェ」の収穫物は太ものが多く、2L及びL級規格の比率が高い(表1図1)。
  3)   形態的には、「どっとデルチェ」は節間長が長く、りん片葉が大きい。
  4)   「どっとデルチェ」は春どりで若茎のアントシアニンの発現がやや多く、若茎頭部の色及び擬葉の色がやや濃い特性を有する。
  5)   「どっとデルチェ」における斑点病の発生は従来品種に比べて少ない(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 栽培方法は、「ウエルカム」に準じる。
2. 本品種は「ウエルカム」に比べて春どりでの収量性に優れるため、長期どりしない寒冷地のアスパラガス露地普通栽培に特に適する。
3. 乾燥条件では収量が低下する場合があるので、灌水できる圃場で栽培するのが望ましい。
4. 高温期の収穫物は、伸びすぎると穂先が従来品種より開きやすいので早めの収穫を心がける。
5. 種子配布は、(社)長野県原種センターにて行い、当分の間長野県内に限定する。


[具体的データ]

表1 「どっとデルチェ」と対照品種「ウエルカム」の収量推移(2001年定植株、場内)
表2 5年株春どりの規格別収量及び品質(2005年、場内)
図1 春どり収穫物比較「どっとデルチェ」(左)と「ウエルカム」(右) 表3 アスパラガス斑点病の発生程度(場内)

[その他]
研究課題名:キャベツ・ハクサイ等新品種の育成
予算区分:県単
研究期間:1999〜2007年度
研究担当者:元木悟、清水時哉、酒井浩晃、宮坂幸弘、松本悦夫、臼井冨太、上杉壽和
発表論文等:品種登録出願、名称「どっとデルチェ(ドットデルチェ)」、
                  出願番号第20824号、2007年3月22日出願、2007年8月3日出願公表

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