イチゴが9月から収穫可能な「短日・スポット夜冷処理システム」


[要約]
イチゴを短日処理しつつクラウン周辺を局所冷却する「短日・スポット夜冷処理システム」は、6月下旬の本ぽ定植後、9月中旬までの処理で9月中下旬から収穫でき、えき花房が連続出らいし、定植適期の拡大、育苗の省力化、増収・増益を可能とする。

[キーワード]イチゴ、短日・スポット夜冷処理、局所冷却、早期出荷、省力化

[担当]愛知農総試・園芸研究部・野菜グループ
[代表連絡先]電話:0561-62-0085
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  愛知県のイチゴは、高設栽培の普及率が高く、大規模経営を指向する農家も多い。しかし、定植適期が短いため作業が集中し、収穫期間が冬春季に限定されるため雇用の確保が問題であり、規模拡大に向けた課題となっている。そこで、高設栽培の本ぽに花芽未分化苗を定植し、短日処理と株元への効率的な冷気の送風処理が同時に行える「短日・スポット夜冷処理システム」を開発し、連続花芽分化促進を可能にする早期定植・早期収穫技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
1. システムは、aイチゴ株元のクラウン近傍を通る小さな穴を開けた冷風ダクト、bスポットクーラー(インスパック 10HF-NK 冷房能力2.5kw)、c及びdスポットクーラーの冷気をaに送る送風ダクト、e短日処理と冷却容積を小さくする遮光トンネル(100%遮光ビニル)で構成される(図1)。既設の高設栽培ベッドに設置でき、長さ45mのベッドで冷風ダクトからの吹き出し温度の差は最大3.5℃である(データ略)。
2. 17時から翌9時まで、遮光トンネルを被覆し、スポットクーラーを稼働させてクラウンを中心とした株元へ20℃以下(温度サーモを18℃にセット)の冷風を送り込み、日平均気温が25℃以下になるよう管理する。スポット夜冷処理と、日長時間を制限する短日処理(16時間暗期)と同時に行う。
3. 6月下旬に花芽未分化苗を定植後、6月末から9月中旬まで、短日・スポット夜冷処理を行うと、「とちおとめ」、「章姫」では9月中下旬から収穫可能である。えき花房も連続出らいするため、慣行に比べ約15%の増収効果が見込める(図2)。
4. システムの導入コストは10a当たり約400万円(機器の償却期間8年)であるが、増収効果と単価が高い時期に出荷可能で、試算では約20%の増益効果が見込める(図3)。
5. 定植期は約2ヶ月早進化可能で、未分化苗を直接定植するので、育苗の労力は約2割省力化できる(図4)。

[成果の活用面・留意点]
1. この処理法は、「とちおとめ」、「章姫」などの一季成り品種に適する。
2. 処理効果を高めるために、ハウスに昇温防止対策を施す。
3. 処理温度、処理期間は品種や地域毎に検討が必要である。
4. 収穫後は速やかに予冷庫(5℃)で保管し、涼しい部屋で調整作業を行う。
5. 本システムは、平成20年より市販予定である。


[具体的データ]

図1 短日・スポット夜冷処理システムの概要 図2 短日・スポット夜冷処理による「とちおとめ」の増収効果
図3 10a当たりの粗収入、経費、粗収益 図4 開花促進処理に必要な10a当たりの労働時間

[その他]
研究課題名:イチゴの本ぽにおける短日・スポット夜冷処理による収穫超早期化技術
予算区分:県単(産学官共同研究)
研究期間:2005〜2007年度
研究担当者:齋藤弥生子、矢部和則、山下文秋、矢野義幸(株デンソーエース)、安田誠一(GAC株)、松村秀和(GAC株)
発表論文等:ハウス栽培システム(特願2007-270856)

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