無加温半促成ナス栽培におけるセイヨウミツバチの訪花特性


[要約]
セイヨウミツバチは前脚と口器でナスの葯を揺らし、花粉を落として採集する。放飼時の葯内の花粉が少ない条件では訪花開始が遅れやすい。導入時期は4月以降とする。群を長期間維持しやすく、低コスト化を図ることができる。

[キーワード]ナス、花粉媒介、セイヨウミツバチ

[担当]群馬農技セ・生産技術部・野菜グループ
[代表連絡先]電話:0270-61-0066
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  無加温半促成ナスは暖房機を使用せず、定植後の2〜3月の低温期はトンネル被覆による保温を行う栽培である。この栽培では低温期に着果促進ホルモン剤の単花処理を行い、4月以降にセイヨウオオマルハナバチ(以下、マルハナバチ)を利用してきたが、最近ではセイヨウミツバチ(以下、ミツバチ)の利用が進んでいる。そこで、本作型におけるミツバチの訪花活動の特徴および利用上の特性を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. ミツバチのナスの花に対する花粉採集行動は、マルハナバチの様な振動採餌行動と異なり、花粉が内部に詰まっている葯の先端を前脚と口器を使って揺らしながら花粉を落とし、腹面側の体毛で受け止めて採集する(図1)。この行動の過程で花粉が柱頭に付着することにより、種子が形成されて着果する。
2. ミツバチの放飼時にナスの葯内の花粉量が少なく、振動時に落下する花粉が少ない場合、放飼から訪花活動を開始するまでに日数を要する(表1)。
3. ナスの着果は最低気温12℃程度で安定しやすく、10℃以下では不良になりやすいため、ミツバチの導入時期は4月以降とする。4月は5月に比べて稔性花粉数が少ないが、ミツバチ利用によりマルハナバチ利用と同等の着果率、A品率、種子形成を得られる(表2)。
4. ミツバチ群は長期間活動を維持しやすく、1作につき1群の導入で済むため、群を再導入するマルハナバチに対して、低コスト化を図ることができる。なお、ミツバチの訪花活動は天候の影響を受け、曇雨天時は訪花数が少なくなるが、訪花は観察される(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. ミツバチ群は風通しの良い場所に設置する。
2. ミツバチの利用群数は5〜10aに1群とする。
3. ミツバチの訪花促進のためには保温管理を徹底し、ナスの花粉量を確保する。また、指で花を叩いても花粉の落下を目視できないような時期はミツバチを放飼しない。
4. ミツバチ群を導入後に低温が続く場合は、着果促進ホルモン剤の処理を行う。
5. ミツバチはマルハナバチに比べて、刺す危険性が高いので取り扱いに注意する。
6. マルハナバチは1群23,000円程度、ミツバチは1群12,000円〜20,000円程度である。


[具体的データ]

図1 セイヨウミツバチのナスに対する訪花行動(宮本ら,2006) 左)葯を揺らして花粉を受け止める個体  右)ぶら下がりながら後脚に花粉団子を作製する個体
表1 花粉量が訪花開始に及ぼす影響
 表2 着果の推移
表3 訪花数の推移

[その他]
研究課題名:ミツバチを利用した半促成ナスの着果促進技術体系の開発
予算区分:高度化事業
研究期間:2004〜2006年度
研究担当者:宮本雅章、阿部晴夫、剣持伊佐男、佐々木正己(玉川大ミツバチ科学)、
                  小野正人(玉川大ミツバチ科学)
発表論文等:1)宮本ら(2006)応動昆、50:297-304
                  2)宮本ら(2007)応動昆、51:265-272

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