フキ栽培品種の根ざし繁殖における増殖倍率と苗の生育


[要約]
「春いぶき」、「吉備路」および「八ツ頭」では、慣行法である地下茎分割繁殖に比べて、根ざし繁殖により、増殖効率が高まる。根ざし繁殖で得られた苗は、地下茎分割繁殖に比べ、本ぽに定植するまでに50日程度、育苗日数を多く必要とする。

[キーワード]フキ、根ざし繁殖、地下茎分割繁殖、品種、増殖倍率

[担当]群馬農技セ・中山間地園芸研究センター
[代表連絡先]電話:0270-30-7799
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  フキ栽培では地下茎分割繁殖(慣行法)にかわる、現地で利用可能な大量増殖技術の開発が求められている。千葉県暖地園芸試験場では、野生種から選抜した系統において、セルトレイを用いた根ざし繁殖により大量増殖が可能であると報告している(平成7年研究成果情報)。しかし、主要品種における根ざし繁殖について、今までに報告された例がない。そこで、主要品種の根ざし繁殖における増殖倍率と苗生育について明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 根ざし繁殖では、育苗箱に根を植え付け、最低温度を15℃に設定したビニルハウスの小トンネル内で管理する。萌芽した不定芽に根を着けて切り取り、ポリ鉢に鉢上げする。さらに、二次育苗することで植え付け可能な苗となる。
2. 不定芽の萌芽の多い「春いぶき」(群馬県育成品種)、「吉備路」および「八ツ頭」では、根ざし繁殖による増殖倍率が高い。不定芽の萌芽の少ない「水ブキ」(群馬県在来品種)と「愛知早生ブキ」では低い(表1)。
3. 根ざし繁殖による1年生株1株からの増殖倍率は、「春いぶき」で150倍(地下茎分割繁殖法の6.8倍)、吉備路で230倍(同6.8倍)、「八ツ頭」で115倍(同13.3倍)である。(表1)。
4. 慣行法である地下茎分割繁殖に比べ、根ざし繁殖では本ぽに定植するまでに50日程度、育苗日数を多く必要とする。根ざし繁殖で得られた苗は、地下茎分割で得られたものに比べて、一部の品種を除いて、葉柄数でやや多く、葉柄長がやや短い(図1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 根ざし繁殖に用いる根は、株元から発生し、下方に伸びる2mm以上の太さのものが適する。
2. 不定芽の萌芽には季節変化があるので、2〜3月に株元から切り取った根を用いる。
3. 育苗箱を用いた根ざし繁殖法では、セルトレイを用いた場合に比べ、萌芽した部分を用いて鉢上げするので、欠株が少ない。
4. 根ざし繁殖法の導入により、育苗期間が長期化して労力がかかるが、早期の面積拡大が可能となる。特に、新規に栽培する場合や新しい品種を導入する場合に有効である。


[具体的データ]

表1 フキ栽培品種の繁殖法と1年生株1株からの増殖倍率
図1 根ざし繁殖で得られた苗の生育(A:葉柄数、B:葉柄長)

[その他]
研究課題名:フキ新品種育成試験
予算区分:県単
研究期間:2002〜2006年度
研究担当者:小泉丈晴、石澤昌彦、猿田正暁

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