高設養液栽培における収穫株を利用したイチゴ省力育苗技術


[要約]
イチゴ「紅ほっぺ」の収穫株から発生した、葉数2〜3枚の苗を7月上旬に一斉に栽培ベッドに誘引定植し、花成を誘導することにより、慣行栽培に比べ、10a当り244時間の省力化が図られ、収量も同程度確保できる。

[キーワード]イチゴ、高設養液栽培、収穫株利用、省力育苗、誘引定植

[担当]静岡農林研・栽培技術部施設型(野菜)研究
[代表連絡先]電話:0538-36-1555
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  イチゴの大規模経営体を育成するため、高設養液栽培の収穫株を、収穫終了後に採苗親株として利用した省力育苗技術について検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 収穫が終了した株を12株に1株の割合で残し、ランナーを発生させ、ベッドから垂らす。
2. 7月上旬に垂れ下がったランナーから葉数2〜3枚の苗を一斉にベッドに誘引定植し、7月下旬に切り離す。(図1)。
3. 収穫株利用育苗は、慣行育苗で必要な親株管理、ポット土入れ、ポット受け及び苗潅水などの管理が不要になり、10a当りの作業時間は、慣行育苗と比較して244時間減少する(表1)。
4. 収穫株利用育苗は、慣行ポット育苗と同程度の収量を確保できる(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. イチゴ栽培品種は「紅ほっぺ」を利用し、高設培地は山土とバーク堆肥の混合を用いた際の成果である。
2. 通年使用可能な高設養液栽培において導入可能である。
3. 5月末まで収穫した収穫株を採苗親株とし、収穫株1株当り12子苗程度を利用する。
4. 本技術は、病害虫の防除に注意し、数年に1度無病苗に更新する。
5. 8月中旬まで2枚残しの強摘葉を行うなど、クラウン径の過度な肥大を抑制し、乱形果の発生を低減する。
6. 収穫終了時から8月中旬までの養液濃度はEC0.5ds/mで管理し、8月20日から9月20日頃まで約1ヶ月間、低濃度給液管理(EC0.2ds/m:硝酸態窒素15ppm)を行い、花芽分化を検鏡で確認後、通常管理(EC0.6ds/m)を行う。
7. 採苗用収穫株は、7月下旬の切り離し後、抜き取り、先に誘引定植した苗のランナー子苗を誘引定植する。


[具体的データ]

図1 収穫株利用育苗と慣行育苗の作業体系(3 月〜10 月)
表1 育苗から定植にかかる作業時間の比較(10a当り) 図2 収穫株利用育苗の状況(中央矢印が収穫株)
表2 収穫株利用苗と慣行苗の収量

[その他]
研究課題名:イチゴ高設栽培における収穫株由来ランナ−利用技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2005〜2007年度
研究担当者:藤浪裕幸、井狩徹

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