不織布製ポットを利用したトマトの多収少量培地耕「独立ポット耕」


[要約]
トマトの独立ポット耕は、ベンチ上で1株毎に根域、給液及び排液を独立させた不織布製ポットで栽培する少量培地の栽培システムであり、土壌病害の伝搬が抑制でき、長期多段栽培すると、40t/10aの収量が得られる。

[キーワード]トマト、ポット耕、ベンチ栽培、長期多段栽培、少量培地耕

[担当]岐阜農技セ・野菜・果樹部
[代表連絡先]電話:058-239-3131
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  トマトの土耕栽培は、土壌病害を抑制するために土壌消毒や接木栽培を行う必要があり、生産者の労力負荷が大きい。また、ロックウール栽培等の既存の養液栽培の多くは、導入コストが高く、培地が連続しているため土壌病害が伝染しやすい問題がある。そこで、収量の向上を図りながら、土壌病害に対するリスクが少なく、低コストなトマトの少量培地耕を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 栽培ベンチはφ19mmの丸パイプで幅20cm、高さ50cmに組み、ベンチ上部の水平直管パイプに鉢花用トレイを架け、トレイ内に無肥料の市販配合土を充填した防根透水性の不織布製5号ポット(培地量1,200ml)を入れ、栽培培地とする。20cm間隔の点滴チューブを用いて給液し、ポットの下に排液回収用の樋を設置する(図1)。
2. 1ポットに1株を栽培し、株間20cmの2条振り分け方式とする(図1)。栽培ベンチの条間を2mとすると、2,500株/10aの栽植株数となる。
3. 給液は時期及び生育ステージにより4〜40回の少量多回数とし、晴天日の1日当たり排液率が10〜30%となるように給液回数等を調整する。培養液処方は、山崎トマト処方を使用し、培養液濃度は生育ステージに合わせ0.6〜1.6dS/mとする。
4. 冬期は草勢維持のため、温風暖房機でハウス内加温を行うとともに、ベンチ下に温風暖房機のダクトを通し、培地加温する(図1)。ハウス内気温を最低10℃、培地温度を最低15℃確保する。
5. 長期多段栽培では、7月中旬にセルトレイには種、2週間の育苗後に自根のままポットに定植する。収穫は10月上中旬から翌年7月中下旬である。土耕栽培に比べ土壌消毒、接ぎ木苗が不要である(図2)。
6. 品種「桃太郎J」を用い、培養液掛け流し栽培を行ったところ、病害の発生はなく、土耕栽培より多い40t/10a以上の可販収量が得られた(図3)。
7. 果実糖度及び酸度は、土耕栽培と比べ同程度以上であった(図4)。
8. 導入コスト(ハウス、温風暖房機、工事費別途)は、220万円/10a程度であり、培地及び不織布製ポット等の消耗資材として、20万円/作/10a程度が必要である。

[成果の活用面・留意点]
1. 不織布製ポットと培地は1作で廃棄する。
2. 排液率10%未満で水不足により尻腐れ果が、30%を超えると培地内の過湿により根腐れが生じやすい。


[具体的データ]

図1 栽培ベンチの構造(左:正面 右:側面)
図2 栽培体系 図3 時期別可販収量(2006年度)
図4 果実品質の比較(2006年度)

[その他]
研究課題名:トマトの独立ポット耕による培養液循環システムの開発
予算区分:県単
研究期間:2004〜2007年度
研究担当者:安田雅晴、越川兼行、勝山直樹

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