セルリー栽培における点滴灌水・施肥による生産安定と減肥


[要約]
パイプハウスでのセルリー栽培において追肥重点の点滴灌水・施肥により慣行の半分程度の窒素施肥量でも収量は向上し、土壌浸出液中の硝酸イオン濃度は低く安定する。また、点滴灌水により慣行の半分程度の窒素施肥量でも収量は安定する。

[キーワード]セルリー、点滴灌水、点滴施肥、減肥

[担当]愛知農総試・東三河農業研究所・野菜グループ
[代表連絡先]電話:0532-61-6235
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  パイプハウスのセルリー栽培では植物体の窒素吸収量に対して、慣行的に通常2〜3倍量の窒素施肥が行われており、さらに土づくりのために堆肥も多量に投入されている。そのため、多肥による土壌化学性の悪化や生育障害、肥料流亡による環境負荷も懸念される。そこで、窒素施肥量の半減を目標に灌水、施肥方法について検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 点滴灌水は頭上灌水に比べて窒素施肥量を半減しても草丈、地上部重は増加し、根重は減少する。茎数がほぼ同じであるため、地上部重の違いは1本ごとの茎重に大きく影響する(表1表2)。また、点滴灌水は頭上灌水に比べて窒素施肥量を半減しても調製株重は増加し、ばらつきは小さい(図1)。
2. 点滴灌水において、窒素施肥量がほぼ同じでも、追肥重点の点滴施肥の方が基肥重点の慣行施肥に比べて地上部重、調製株重とも増加する(表1表2図1)。
3. 窒素施肥量を半減することにより土壌浸出液中の硝酸イオン濃度は低く推移する。また、点滴灌水において窒素施肥量がほぼ同じでも追肥重点の点滴施肥の方が基肥重点の慣行施肥に比べて土壌浸出液中の硝酸イオン濃度は低く安定して推移する(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 点滴灌水・施肥に必要な資材費は、簡易な装置ならば40〜50万円/10a程度で済み、灌水、施肥作業の省力になる。
2. 点滴施肥では1回の液肥量を設定し、最盛期は週2回程度の間隔で施用する。また、地力維持や土づくりのために堆肥を2t/10a投入する。
3. 1回の給液量は0.6L/株程度を目安とし、生育及び天候に応じて1日に0〜2回給液する。


[具体的データ]

表1 灌水・追肥方法及び窒素施肥量
表2 収穫時の生育調査(12月13日)
図1 調製株重(12 月13 日収穫) 図2 土壌浸出液中の硝酸イオン濃度

[その他]
研究課題名:野菜の安定生産のための生育制御技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2006〜2007年度
研究担当者:金子良成、菅沼健二

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