赤黄色土壌における春季の茶園消費水量とかん水の効果


[要約]
赤黄色土壌における春季の1日あたりの成木茶園の消費水量は最大で3.5mmと推定され、降雨がない場合は7〜11日程度でかん水基準に到達する。7日間隔で25L/m2をかん水することで土壌pF2.3以下になり、一番茶は新芽の伸長速度が高まり収量が増加する。

[キーワード]チャ、春季かん水、茶園消費水量、畑地かんがい、新芽伸長

[担当]静岡農技研(茶研セ)・栽培技術開発
[代表連絡先]電話:0548-27-2311
[区分]関東東海北陸農業・茶業
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  茶園へのかん水は、畑地かんがいの整備が進みつつあることから、今後は高品質安定生産のために積極的に活用されていくことが予想される。春季の土壌水分環境は一番茶新芽の生育に大きな影響を及ぼすことから、降雨遮断とかん水を組み合わせて、一番茶生育期の水分環境と生育に及ぼす影響を調査して、かん水の効果を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 成木茶園・赤黄色土壌において一番茶生育期に降雨を遮断した場合、土壌pFは7〜11日程度でかん水基準のpF2.3に達する。かん水基準に達するまでに要する日数は、3月下旬から4月下旬の間で違いがみられない(図1)。
2. 茶園土壌pFの推移から推定した茶園消費水量は平均で1日あたり2.5mmであり、最大では3.5mmと夏季の平均値と同程度まで高まる場合もある(表1)。
3. 一番茶生育期に降雨がない場合は、新芽の伸長が抑制されるため収量は大きく減少するが、7日間隔で25L/m2をかん水することで土壌pFは2.3以下になり、一番茶は新芽の伸長速度が高まり収量が増加する(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 3月中旬から5月上旬にかけて、当茶業研究センター内において簡易雨よけ施設により降雨を遮断した「やぶきた」成木茶園、赤黄色土壌で得られた試験結果である。
2. 土壌pFはテンションメータにより雨落ち部で測定した。
3. 一番茶生育期におけるかん水管理技術に利用できる。


[具体的データ]

図1 降雨遮断処理におけるかん水停止後の土壌pFの推移
表1 茶園表層土壌における乾燥特性の季節間差異
表2 降雨遮断下のかん水管理の違いによる一番茶生育の比較(2005)

[その他]
研究課題名:春季の土壌水分環境が新芽の生育に及ぼす影響
予算区分:県単
研究期間:2005〜2007年度
研究担当者:大石哲也

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