一番茶生育期における異なる水管理条件が樹冠面温度に及ぼす影響


[要約]
一番茶生育期において、降雨がないとかん水量が少ないほど日中の樹冠面温度は上昇する。土壌pFに差が生じない程度の少量のかん水でも樹冠面温度は低下し、水ストレスは軽減される。

[キーワード]チャ、樹冠面温度、熱画像、水ストレス

[担当]静岡農技研(茶研セ)・栽培技術開発
[代表連絡先]電話:0548-27-2311
[区分]関東東海北陸農業・茶業
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  土壌乾燥による水ストレスが生じると植物体に様々な影響を及ぼす。かん水指標としては土壌pFの測定が行われるが、植物体を直接的に観測する方法ではないため、必ずしも植物体の水分状態を反映したものとはいえない。そこで、非破壊・非接触で熱画像を測定できる赤外線サーモグラフィを利用し、一番茶生育期の水管理条件の違いが樹冠面温度に及ぼす影響を調査する。

[成果の内容・特徴]
1. 一番茶生育期において降雨がない場合、蒸散量が制限され晴天時日中の樹冠面温度は上昇する。樹冠面温度の上昇は、サーモグラフィで得られる熱画像で確認できる(図1)。
2. かん水がない場合の樹冠面温度は、十分なかん水を行った場合に比べて、温度分布は全体的に高温側へ移動する(図2)。
3. 一番茶生育期に降雨遮断処理でかん水した場合、かん水量が多いと新芽の伸長速度が高まり収量差が生じるが、1回に5L/m2の少量をかん水した場合と無かん水とでは土壌pFに差が生じない(表1)。
4. 土壌pFに差が生じない程度の少かん水でも新芽伸長に及ぼす水ストレスは軽減され、樹冠面温度は低下する(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 当茶業研究センター内において、簡易雨よけ施設により降雨を遮断した「やぶきた」成木茶園、赤黄色土壌で得られた試験結果である。
2. サーモグラフィによる樹冠面温度の測定は、蒸散が盛んな晴天日の午前10時から午後2時頃に行う。
3. 一番茶生育期におけるかん水管理技術に利用できる。


[具体的データ]

図1 降雨遮断下におけるかん水量の違いによる樹冠面の熱画像
図2 樹冠面温度のヒストグラム
表1 降雨遮断下における一番茶期の樹冠面温度と土壌pF・新芽生育の関係(2005)

[その他]
研究課題名:春季の土壌水分環境が新芽の生育に及ぼす影響
予算区分:県単
研究期間:2005〜2007年度
研究担当者:大石哲也

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