DGPSによる茶園面積測定と高精度施肥による施肥量の適正化


[要約]
DGPSの利用により、不整形な茶園においても植栽面積を簡易に一人で測定することができる。肥料繰り出し量が作業速度に連動する高精度施肥機を利用すれば、測定された面積をもとに肥料投入量を茶園ごとに精密に管理できる。

[キーワード]チャ、精密施肥、DGPS、面積測定

[担当]静岡農技研(茶研セ)・栽培技術開発
[代表連絡先]電話:0548-27-2311
[区分]関東東海北陸農業・茶業
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  未整備の一般農家茶園は不整形な分散茶園が多く、管理の基準となる正確な面積の把握は困難である。また、非植栽部分を除いた管理対象茶樹の正確な植栽面積は把握されていない。そこで、分散・不整形な現地茶園において、ディファレンシャルGPS(DGPS)を利用した茶園面積測定手法を適用するとともに、茶園区画ごとに面積情報に基づき精密に施肥量を管理する方法を実証する。

[成果の内容・特徴]
1. 茶園面積の測定は、DGPSを利用して頂点測位方式により植栽面積を算出する。即ち、枕地、作業道、防霜ファンの支柱部分などを除いた茶樹植栽部分の頂点を測位し、面積を求める(図1)。DGPSを利用した茶園計測は、正確な植栽位置情報を取得でき、不整形な分散茶園にも適応できる(図2)。
2. DGPSによる茶園面積の測定に要する時間は、1区画あたり約12分(平均面積1,150m2、平均測位頂点数15点の場合)であり、簡易に一人で正確な面積を取得できる。
3. 肥料繰り出し量が作業速度に連動する高精度施肥機(茶園用精密施肥機,深山ら2005)を利用すると、細かな散布量調節が可能であり、個々の茶園ごとに設定した施肥量を、正確かつ茶園内に均一に散布できる(表1)。
4. DGPS測定面積を利用して個別茶園ごとに高精度に施肥量を管理した場合、基準施肥量が全ての茶園で過不足なく散布できるようになり、投入量は慣行施肥よりも約10%の減少が見込まれる。さらに高精度施肥を利用して、収奪量に応じた施肥量の個別管理による削減も可能である(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 面積測定において、精度の問題から高度情報は利用しない。そのため傾斜地茶園では上方投影面積となる。その場合、傾斜10度以内であれば理論上の差は1.5%以下と小さいため無視できる。


[具体的データ]

図1 DGPSによる茶園面積の測定方法
図2 茶園測位情報の図示化
表1 茶園用精密施肥機による肥料散布量の調節
表2 取得した情報をもとにした茶園個別管理による施肥量

[その他]
研究課題名:茶における精密畑作農業技術の実証試験、及び作業技術・経営的評価
予算区分:交付金プロ(精密畑作)
研究期間:2004〜2007年度
研究担当者:大石哲也

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