中山間地域における茶園景観の評価


[要約]
静岡県川根地域における優良茶園景観に対する選好度は、地域住民では「開放感」や「整然さ」、地域外住民では「静かさ」や「自然の豊かさ」などの印象を強く与える景観で高くなる。

[キーワード]中山間地域、茶園、景観、住民意識

[担当]静岡農技研(茶研セ)・栽培技術開発
[代表連絡先]電話:0548-27-2311
[区分]関東東海北陸農業・茶業
[分類]行政・参考

[背景・ねらい]
  静岡県の中山間地域では、茶は地域農業の基幹作物であり、高品質茶の生産地も多い。また、豊かな自然環境や温泉、渓谷などの観光資源に恵まれた地域も多く、地域の茶園は風光明媚な景観の中で重要な役割を果たしている。しかし、近年、担い手の減少等に伴い耕作放棄茶園が地域各所に散見され、地域住民の観光資源としての茶園景観への意識も希薄化していると推察される。そこで、本研究では、静岡県川根地域を事例として、茶園景観を観光客の目線からとらえ、その特徴と景観に対する住民意識を明らかにするとともに、得られた成果を茶を主体とした地域振興に役立てる。

[成果の内容・特徴]
1. 優良茶園景観のうち、標高が高い山間部の景観が好まれる傾向が強いが、地域住民では標高の低いところでも丘陵から見下ろせる景観は評価が高い(図1)。
2. 優良茶園景観の選好度を規定する要素は、地域住民では「開放感」や「整然さ」、地域外住民では「静かさ」や「自然の豊かさ」である(表1)。
3. 好ましくない景観構成要素は、電線・電柱、住宅建造物、ガードレール、鉄塔などである。防霜ファンについては、むしろ地域住民のほうが好ましくないと考える割合が高く、地域外から訪れる人にとっては思ったよりも景観上気になっていない(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 地域住民及び地域外住民に対する写真を用いたSD(semantic differential)法によるアンケート調査(評価尺度8項目,7段階)を解析した結果に基づくものである(図3)。
2. 今回の評価実験において評価の高かった景観やそのイメージは、茶業経営や観光に活用できる。
3. 優良景観の活用策と併せて、茶園景観の保全策として、耕作放棄防止のための茶園管理労働力を確保する方法について地域で検討する必要がある。


[具体的データ]

図1 評価の高かった景観(A,B)と評価の低かった景観(C)の例
表1 各景観の選好度を目的変数とする重回帰分析の結果
図2 好ましくない景観構成要素 図3 SD法による評価尺度

[その他]
研究課題名:大井川流域における茶園景観の構成要因の解析と評価
予算区分:県単
研究期間:2006〜2007年度
研究担当者:鈴木利和

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