食品製造工程における微生物検出技術の開発


[要約]
加工食品から大腸菌群が検出された際に、平板培養法により調べた食品およびその製造工程各所の大腸菌群構成相を解析することで汚染源を迅速かつ簡便に推定できる。

[キーワード]加工食品、大腸菌群、汚染源の推定

[担当]埼玉産技総セ北部研・生物工学部
[代表連絡先]電話:048-521-0614
[区分]関東東海北陸農業・流通加工
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  食品の製造工程では常に細菌に汚染される危険があり、特に食中毒菌の汚染事故が起きた場合、製造業者は致命的な打撃を受ける。そのため、企業では食の安全・安心を確保する目的で、自然界に多数存在する大腸菌群を汚染状態の指標として衛生管理を行い、食品中に大腸菌群が検出されると、清掃強化などの対処により衛生状態の保全に努める。しかし、大腸菌群は食品工場内の各所に常在するため、汚染源が除去され食品中の大腸菌群が検出されなくなるまでに多大な労力と時間を費やす。ところで、大腸菌群を構成する細菌種は非常に多岐にわたる。そして、各々の細菌株の生育至適条件は必ずしも同一ではなく、環境条件によってその構成相も変化すると予測される。そこで、食品中で検出された大腸菌群の構成相から迅速に細菌汚染経路や原因を推定する技術の開発を目指した。

[成果の内容・特徴]
1.  大腸菌群標準菌株の識別
17種の大腸菌群の標準菌株について、糖の一種であるD-アラビトール(以下DARLとする)の資化性の相違を調べると、資化する株・資化しない株が区別されることが分かる(表1)。この結果から、DARL資化性の有無を指標にして、資化する株と資化しない株を計数することにより、もとのサンプルの大腸菌群構成相が求められることが示唆される。
2.  大腸菌群構成相分析による汚染源の探索
例として2種類の食品AおよびBから検出された大腸菌群構成相とその製造工程中から検出された大腸菌群構成相を表2に示す。DARL培地上で酸産生能がみられたものをⅠグループ、みられなかったものをⅡグループと定義する。食品Aの構成相は成形加工機(乾)と、食品Bの構成相は野菜洗浄場床・作業場床(湿)と類似しており、各々高い類似度を示している。このことから、それらの場所が汚染源であると推定される。
3.  DNA分析による汚染源の確認
食品Bでは、2ヶ所の汚染源候補が挙げられたので、どちらが汚染源であるのかDNA解析にて確認する。分析手法にはRandom Amplification of Polymorphic DNA (RAPD)法を用いる。図1より、RAPDパターンは食品と野菜洗浄場床との間で一致していることが分かり、食品Bの大腸菌群汚染は野菜洗浄場床によるものということが判断できる。

[成果の活用面・留意点]
1. 今回の研究の結果の模式図を図2に示す。本手法により、食品から検出された大腸菌群がどこから持ち込まれたのか、迅速に推定することができる。


[具体的データ]

表1 標準菌株のDARL資化性 表2 大腸菌群構成相
図1 DNA解析 図2 汚染源探索の模式図

[その他]
研究課題名:食品製造工程における微生物検出技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2005〜2006年度
研究担当者:富永 達矢、関根 正裕

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