サチホゴールデンの安定多収・高品質栽培法


[要約]
サチホゴールデンの施肥水準は、収量・麦芽品質が安定する標肥からやや多肥(N6.5〜7.5kg/10a)が、播種水準は標播(8.5kg/10a)が、播種時期は被害粒の発生が少なく麦芽品質が安定している標準播(11/5〜11/20)が適している。

[キーワード]二条オオムギ、施肥量、播種量、播種時期

[担当]栃木農試・栃木分場・二条指定、品質指定
[代表連絡先]電話:0282-27-2711
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  2005年度に栃木県の奨励(認定)品種に採用されたサチホゴールデンは、高品質・多収品種である。サチホゴールデンの普及に向けて高品質・多収栽培のための条件(施肥量、播種量および播種時期)を明らかにした。

[成果の内容・特徴]
1.   施肥量について
サチホゴールデンは穂重型特性をもつが、収量向上には穂数の確保が特に重要である。少肥では穂数が少なくなり、大きく減収となるうえ、側面裂皮も増加する(図1)。施肥量を増やすことにより、穂数は増加し、側面裂皮は減少するが、蛋白質含量は高くなる傾向が見られる(図1)。
2.   播種時期について
早播(10/25播)は穂数確保には有利であるが、側面裂皮の増加、整粒歩合の低下を招く(図3)。遅播(11/25播)では粗蛋白質含量が有意に増加し、麦芽エキスが低下する(データ略)。
3.   播種量について
多播は穂数をやや増加させる傾向にあるが、1穂粒数、千粒重を小さくするため(図4)、収量には有意差は見られない(データ略)。一方、少播は粗蛋白含量が高くなりやすい(データ略)。
4.   サチホゴールデンの高品質多収栽培には、①穂数の確保、②側面裂皮の抑制、③蛋白質含量の安定、が重要である。基準施肥量は標準からやや多肥(N6.5〜7.5kg/10a)、播種量は標播(8.5kg/10a)、播種時期は標準(栃木県南部11/5〜11/20)が適当である。

[成果の活用面・留意点]
    一般に、ビール麦は湿害発生時には収量が低下し、側面裂皮が多くなることから、高品質多収栽培には湿害対策を適切に行う。
  適正な施肥量は圃場によって異なるが、ミカモゴールデン比2割増までが目安となる。各圃場の蛋白質含量履歴などを考慮して極端な多肥栽培は避ける。


[具体的データ]

図1 施肥量と穂数・整粒重の関係 図2 施肥量と麦芽粗蛋白・側面裂皮粒との関係
図3 播種時期と整粒歩合・側面裂皮粒の関係 図4 播種量と千粒重・穂数の関係

[その他]
研究課題名:ビール大麦「サチホゴールデン」の高品質多収栽培法の確立
予算区分:指定試験
研究期間:2004〜2006年度
研究担当者:渡邉浩久、加藤常夫、粂川晃伸、大野かおり、長嶺敬

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