水稲品種別の高品質、低タンパク米生産のための好適な穂肥施用時期


[要約]
温暖地での早期栽培において、未熟粒による品質低下を起こさず、玄米中粗タンパク質含有率を高めないための穂肥施用時期は、「ふさおとめ」では出穂前25〜18日、「コシヒカリ」では出穂前18〜10日である。

[キーワード]水稲、穂肥、品質、白未熟粒、食味、玄米中粗タンパク質含有率

[担当]千葉農総研・生産技術部・水田作研究室
[代表連絡先]電話:043-291-0151
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  水稲の白未熟粒は、登熟初期の高温のみならず、幼穂形成期の過繁茂やその後の倒伏、登熟期間の稲体の窒素不足によっても発生することが明らかとなっている。このうち登熟期間の窒素不足の改善には穂肥の施用が有効であるが、施用時期によっては倒伏して外観品質を低下させたり、玄米中粗タンパク質含有率を高め食味を低下させる。そこで、「ふさおとめ」と「コシヒカリ」について、倒伏をさせずに高い玄米品質と低い粗タンパク質含有率を可能とする、好適な穂肥の施用時期を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 「ふさおとめ」、「コシヒカリ」ともに、穂肥を施用しないと、窒素量3kg/10aを施用した場合に比べ10〜25%程度減収する(データ省略)。
2. 「ふさおとめ」は、穂数が多くなるのに伴い白未熟粒割合が増加するが、穂肥施用時期が穂数及び白未熟粒割合に及ぼす影響は小さい(図1)。
3. 「コシヒカリ」は、穂肥施用を早めると二次枝梗籾が増加し、一穂籾数が増加するとともに一穂に占める二次枝梗籾の割合が高くなる(図2)。
4. 「コシヒカリ」では、出穂前25日以前に穂肥を施用すると、一次枝梗籾に比べて未熟粒割合の高い二次枝梗籾が増し、一穂全体の未熟粒割合を高め外観品質を低下させる(図1図3)。
5. 「ふさおとめ」では出穂前18日、「コシヒカリ」では出穂前10日よりも遅く穂肥を施用すると、玄米中粗タンパク質含有率は8%を超え、食味が低下する危険性がある(図4)。
6. 以上のことから、「ふさおとめ」では出穂前25〜18日、「コシヒカリ」では出穂前18〜10日に穂肥を施用することで、未熟粒による品質の低下や、玄米中粗タンパク質含有率増加による食味の低下をおこさない。

[成果の活用面・留意点]
1. 目標収量を540〜600kg/10aとして得られた成果である。
2. 壌土の半湿田では、穂肥窒素施用量は3kg/10aを基本とする。
3. 本成果は温暖地早期栽培に適用される。


[具体的データ]

図1 穂肥の施用時期が白未熟粒割合に及ぼす影響 図2 「コシヒカリ」における穂肥の施用時期が一穂籾数及び二次枝梗籾割合に及ぼす影響
図3 「コシヒカリ」における枝梗別籾数と白未熟粒割合の関係 図4 穂肥の施用時期が玄米中粗タンパク質含有率に及ぼす影響
注1) 施用窒素量は基肥2kg/10a、穂肥3kg/10aとした
   2) 栽植密度は19〜20株/m2とした
   3) Fは「ふさおとめ」、Kは「コシヒカリ」を示す
   4) 白未熟粒割合は、乳白粒、背白粒、腹白粒、基白粒、心白粒、死米の合計が全体に占める割合を示す
   5) 玄米中粗タンパク質含有率は乾物当たりの値
   6) 2004年「コシヒカリ」のデータは、倒伏程度が大きかったため省略した

[その他]
研究課題名:品種特性に応じた品質・食味向上のための生育制御技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:吉野 裕一、太田 和也、在原 克之、小山 豊
発表論文等:吉野ら(2007)千葉県農業総合研究センター研究報告6:95-102

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