ゆで豆用の落花生新品種「おおまさり」の収量特性と栽培法


[要約]
落花生新品種「おおまさり」は、従来のゆで豆用品種「郷の香」に比べて子実が大きく、収量性が高い。収穫適期は、子実の熟度の“ばらつき”が小さく、多収となる開花期後85日頃である。栽培法は慣行に準じるが、1株2本立て栽培で増収が図れる。

[キーワード]落花生、おおまさり、ゆで豆、増収

[担当]千葉農総研・北総園芸研究所・畑作園芸研究室
[代表連絡先]電話:0478-59-2100
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  千葉県農業総合研究センター育種研究所畑作物育種研究室落花生試験地(農林水産省らっかせい育種指定試験地)は、極大粒で食味の良いゆで豆用の落花生新品種「おおまさり」を育成した(2007年7月に登録出願受理)。そこで、本品種のゆで豆用栽培における収量性を従来のゆで豆用品種「郷の香」と比較し、その特性を明らかにする。また、好適な栽培法を明らかにする

[成果の内容・特徴]
1. 「おおまさり」は、「郷の香」に比べて生莢の総莢実重が多く、ゆで莢のうち販売に向く上莢重も約1.2倍と多い。しかし、ゆで莢の上莢数は少なく、可販莢率が約半分である(表1)。
2. 「おおまさり」のゆで豆は、「郷の香」の約2倍の大きさで、硬度(平均値)が小さく軟らかいが、熟度の“ばらつき”(硬度の変動係数)が大きい(表1)。
3. 「おおまさり」のゆで豆用の収穫適期は、子実(ゆで豆)の熟度の“ばらつき”が小さく、多収となる開花期後85日頃である(図1)。
4. 「おおまさり」は、播種穴1か所当たりの株立て本数を増やすことで、ゆで莢の上莢数が増加し、1株2本立て栽培による増収効果が高い(表2)。
5. 「おおまさり」の1株2本立て栽培における窒素施肥量は、落花生の標準量である3kg/10aが適する(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 播種は1か所2粒播きとし、栽植様式及び施肥法は慣行のマルチ栽培に準じる。
2. 4月下旬から5月上旬播きでは、斉一な出芽や初期生育を確保するため、マルチ上に不織布(パスライトなど)をべたがけする。
3. 茎葉の生育が旺盛なため、不織布やマルチ資材の除去は開花始期に行う。また、その他の栽培管理は慣行に準じる。
4. 煎り豆用の収穫適期は、開花期後約90日である。


[具体的データ]

表1 落花生ゆで豆用栽培における品種別の収量
図1 ゆで豆用栽培における「おおまさり」の収穫時期別の上莢重、ゆで豆百粒重及びゆで豆硬度の変動係数
表2 ゆで豆用栽培における「おおまさり」の株立て本数の違いによる収量
表3 「おおまさり」の1株2本立て栽培における窒素施肥量の違いによるゆで莢収量(2007年度)

[その他]
研究課題名:落花生奨励品種決定調査
予算区分:県単
研究期間:2005〜2007年度
研究担当者:高野幸成

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