被覆尿素肥料を基肥として利用した小麦「イワイノダイチ」の高品質化技術

 
  [要約]
 
小麦「イワイノダイチ」の栽培において、リニア溶出型25日タイプの被覆尿素肥料を基肥として施用すると、収量と蛋白質含量が増加し、灰分が減少して品質が高まる。また、分げつ肥の施用を省略できるため省力になる。
 
[キーワード]コムギ、イワイノダイチ、被覆尿素肥料、蛋白質含量、灰分
 
[担当]岐阜農技セ・作物部
[代表連絡先]電話:058-239-3132
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]技術・普及
 
  [背景・ねらい]
 
  岐阜県が平成16年度に奨励品種に採用した小麦「イワイノダイチ」は、播性IVで凍霜害に強いなど栽培特性に優れ、粉色・麺色も良好である。しかし、原麦粗蛋白質含量が低く、水田転換畑で生産される岐阜県ではその傾向が顕著であるため、実需者から品質の改善が求められている。そこで、リニア溶出型25日タイプの被覆尿素肥料を基肥とした場合の蛋白質含量向上とともに、灰分や色調など品質への効果について検討した。
 
[成果の内容・特徴]
 
1. 被覆尿素肥料区(表1)は、速効性化成肥料区と比較して、出穂期・成熟期に差はないが、穂数が増加して多収になり、容積重・千粒重は同等以上となる(表2)。
2. 被覆尿素肥料区は、速効性化成肥料区よりも原粒粗蛋白質含量が増加し、灰分は減少する。50%A粉においても同様の傾向となる(表3)。
3. 製粉歩留および50%A粉の色相値は両施肥区の間に有意な差は見られず、ほぼ同等となる(表3)。
4. 被覆尿素肥料区の原粒およびA粉中の無機成分含量は、速効性化成肥料区と比較して、リンおよびカリウムの含量が低くなるが(表4)、これは基肥へのリンおよびカリウム施用の有無が反映されたものと考えられる。
5. 被覆尿素肥料は窒素成分42%であり、側条施肥が可能で、分げつ肥の施用を省略でき、販売価格は速効性化成肥料とほぼ同等であるため、資材費、労働費の軽減が可能になる。
 
[成果の活用面・留意点]
 
1. 掲載データは岐阜県農業技術センター内圃場(灰色低地土)における結果である。
2. 本研究で使用した被覆尿素肥料は、初期溶出率の低いリニア溶出型25日タイプのセラコートR25(セントラル合同肥料(株))であり、施肥体系は表1に示す通りである。
3. リン酸は、本県主産地の水田土壌中に一定量存在する他、麦作以外の水稲栽培等での施用時に、またカリウムは、穂肥時および他作物での施用時に供給されることを前提としている。なお、現地普及3年目においても、この施肥法による問題は発生していない。
4. 岐阜県ではイワイノダイチの蛋白質含量の改善対策として、平成17年播きより全ての栽培現地でセラコートR25を施用している。
 


[具体的データ]

 
表1 各肥料区における施肥体系
表2 各施肥区における生育調査結果
表3 各施肥区における品質調査結果
表4  原粒およびA粉中の無機成分含量(20 06年)
 
[その他]
 
研究課題名:新品種導入に対応した小麦の高品質化技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:村元靖典、吉田一昭
 
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