酒造好適米「三重酒18号」の奨励品種採用(予定)と多収・高品質栽培法


[要約]
早生で多収の酒造好適米品種「三重酒18号」を奨励品種に採用する(予定)。本品種の高品質米生産のための適移植時期は4月下旬から5月上旬である。また基肥を窒素成分で0.5kg/a程度施用することで、60kg/a程度の収量と高品質な生産物を確保できる。

[キーワード]酒造好適米、奨励品種、多収、高品質、三重酒18号

[担当]三重科技セ・農業研究部・伊賀農業研究室、作物研究課
[代表連絡先]電話:0598-42-6354
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  以前から県内酒造業者からは、地元産材料にこだわった商品開発のための吟醸酒や純米酒向け酒造好適米の生産を強く要望されていた。そのため県内の気象および栽培条件に適し、かつ優れた酒造適性を持つ酒造好適米品種の普及を図るとともに、その品種の多収・高品質栽培法を策定し、現地への円滑な普及を図る。

[成果の内容・特徴]
1. 出穂期、成熟期ともに「コシヒカリ」とほぼ同じの早生品種である(表1)。
2. 稈長は80cm程度で、「五百万石」よりやや短く、「コシヒカリ」より10cm程度短い。穂長は「コシヒカリ」よりやや長いが、「五百万石」より短い。穂数は「コシヒカリ」より少なく「五百万石」と同程度で、草型は穂重型である(表1)。
3. コシヒカリ」に比べ倒伏の発生は軽微で、耐倒伏性に優れる(表1)。
4. 収量性は「コシヒカリ」と同程度で、「五百万石」より多収である(表1)。
5. 心白発現率は「五百万石」より少ないが、玄米の外観品質は透明感があり良好である。また千粒重は「五百万石」とほぼ同程度で、粗蛋白含有率は「五百万石」より低い(表1)。
6. 適移植時期は4月下旬から5月上旬で、60kg/a程度の収量が確保でき、また外観品質も良好である。移植時期が遅くなると粗蛋白含有率は低くなるが、穂数の減少により収量が低下し、外観品質も低下する。また5月下旬移植では倒伏が発生する(表2)。
7. 基肥少肥条件では、大粒で粗蛋白含有率は低くなるが、低収となり玄米品質も低下する。また基肥多肥条件では、多収で玄米品質も良好となるが、倒伏が発生し、粗蛋白含有率も高くなるため、高品質で多収な生産物を得るための適基肥窒素量は0.5kg/a程度である(表3)。
8. 現地の多様な土壌条件においても、基肥窒素量を0.5kg/a程度施用することで、安定した収量を確保することができる(図1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 栽培予定地域は県内全域で、普及見込み面積は約80haである。
2. 奨励品種決定調査は作物研究課内の中粗粒灰色低地土での、施肥試験は伊賀農業研究室の強グライ土での試験結果である
3. いもち病には強くないので、適期防除を行う。


[具体的データ]

表1 奨励品種決定調査の結果(2005〜2007年の平均値)
表2 異なる移植時期における「三重酒18号」の生育、収量、品質(2006、2007年の平均)
表3 異なる基肥窒素量における「三重酒18号」の生育、収量、品質(2006、2007年の平均) 図1 現地試験における基肥窒素量と収量の関係(2006、2007年度)

[その他]
研究課題名:新しい三重の酒造好適米品種の育成と地域特産化事業、三重のニューライス開発事業、水稲奨励品種決定調査事業
予算区分:県単
研究期間:2005〜2007年
研究担当者:山川智大、神田幸英、宮本啓一、松井未来生

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