1回通し式精米機の麦類脱芒機への応用


[要約]
麦類の脱芒機として除糠装置にサイクロン機能を有している1回通し式精米機を用いることにより、粉塵を除去し衛生的な環境で能率的な脱芒作業が行える。

[キーワード]麦類、脱芒機、精米機

[担当]群馬農技セ・生産技術部・作物開発グループ
[代表連絡先]電話:027-269-9125
[区分]作物、関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  麦類の収量調査には、脱穀後にドラム式脱芒機を利用しているが、処理後の粉塵により作業環境が衛生的でない。そこで、種子調製に用いる脱芒機と構造的に類似している1回通し式精米機で除糠装置にサイクロン機能を有している機種について脱芒機への応用を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 1回通し式精米機(機種:M社SRM1550E)を用いることにより作業環境は、除糠装置により夾雑物やホコリが吸引排出されるため、作業中に粉塵が舞うようなことがなく大幅に改善される。
2. 脱穀・乾燥した小麦サンプル10点を用いて、表1に示すとおり処理回数について検討を行った。夾雑物の除去は1回処理で十分であり、2回以上の処理との間に有意差が認められる。ただし、1回処理では供給口から装置内へ流れる時の夾雑物(小穂・稃)の量や抵抗等により流れの滞り等が発生するため流量が少ない(表2)。
3. 開始時及び装置内に残った脱芒が不十分なサンプルの処理をかねて、処理を2回行うことにより、十分に夾雑物が取り除かれた調製サンプルが得られる(写真1)。
4. 調製作業について2回処理で調査した結果では、サンプル1kg当たり約40秒と装置内の残量抜きのための20秒をあわせた60秒程度で処理できる(表2)。
5. 残量米除去装置の能力を調査したところ、装置内の残量は1kg当たり平均で3粒程度であり、精度が高く収量調査等で問題にならない(表2)。
6. 小麦以外の麦種への応用を確認するため、二条大麦及び六条大麦を用いて調製作業を行った。麦種により差はあるが1kg当たり約50秒と装置内の残量抜きのための20秒をあわせて70秒程度で処理できる(表3写真1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 1回通し式精米機は、2回通し処理を行うことにより、麦種を問わず脱芒機の代替えとして利用できる。ただし、麦稈や稃等が若干残るため更に夾雑物の少ないサンプルを得るためには、唐箕選と組み合わせることが必要である。
2. 夾雑物が多いサンプルについては、1回目の処理時に投入口の流れを促すことにより処理時間の短縮が図られる。
3. 装置内の残量を少なくするためには、残量処理を行う際に投入口から装置内をコンプレッサを用いて吹く等の清掃するか、脱芒部が2本のネジで固定されいるだけなので分解掃除を行う。
4. 精米白度調節の圧力を過度に掛けると、粒の割れや表皮の剥皮につながるため避ける。
5. 粉塵を除去できることから、ホコリや小穂等の多い製粉サンプルのクリーニング装置としても使用ができる


[具体的データ]

表1 小麦における処理回数(小麦生産力検定試験サンプルn=10)
表2 小麦における調製作業結果(小麦生産力検定試験サンプル n=20)
写真1 処理前後のサンプル
表3 大麦類による調製作業結果

[その他]
研究課題名:温暖地東部の二毛作地帯向け早生、高品質、諸病害抵抗性の小麦品種の育成
予算区分:指定試験
研究期間:2006年度
研究担当者:高橋利和 大沢実 斎藤幸雄

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