飼料米及び稲発酵粗飼料向き子実重型水稲新品種候補系統「関東飼226号」


[要約]
水稲新品種候補系統「関東飼226号」は温暖地東部での出穂期が中生の晩に属する粳種である。玄米収量が多く飼料米として期待できる。また、黄熟期のTDN収量も高い。直播栽培にも適し、関東以西向け飼料米・稲発酵粗飼料向け品種として期待できる。

[キーワード]イネ、飼料米、飼料イネ、多収、直播、関東飼226号

[担当]作物研・低コスト稲育種研究チーム、稲マーカー育種研究チーム
[代表連絡先]電話:029-838-8536
[区分]作物、関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  えさ用トウモロコシの価格高騰により、穀類などの濃厚飼料についても、コメの飼料利用による自給率向上が求められている。低コスト生産が不可欠な飼料米生産には、多収で直播栽培に適する専用品種が必要となる。また、稲発酵粗飼料についても、中生でTDN収量が高く、耐倒伏性を備えた飼料イネ品種が望まれている。

[成果の内容・特徴]
1. 「関東飼226号」は収量性の向上を目標として国際稲研究所の育成系統「IR65598-112-2」を一回親とし、多収の「西海203号」を戻し交配して育成された飼料米・飼料イネ向け系統である。
2. 出穂期は「日本晴」より2日程度早く、関東平坦部では“中生の晩”に属する。黄熟期は「日本晴」並で、成熟期は12日程遅い(表1)。
3. 稈長は「日本晴」並みで、穂数は少なく、草型は“極穂重型”である。芒はなく、ふ先色は黄白〜黄である。
4. 精玄米重は、移植栽培・直播栽培とも「タカナリ」より4〜9%多収で、屑米を含む粗玄米重は「日本晴」より35〜40%高く、「タカナリ」より8〜15%高い子実多収系統である(直播のデータは略)。
5. 黄熟期の株全重によるTDN収量は1.10t/10aで、「日本晴」より8%、「タカナリ」より10%多収である。
6. 耐倒伏性は“極強”で直播栽培にも適する。
7. いもち病真性抵抗性遺伝子型は不明で、葉いもち・穂いもち圃場抵抗性も不明である。白葉枯病抵抗性は“弱”で、縞葉枯病には“罹病性”である。穂発芽性は“やや易”である。
8. 玄米の腹白、心白、乳白が著しく多く、玄米品質は著しく劣る。米飯の粘りは少なく、硬いく、食味の総合評価は“下中”である。
9. 著しく不良な玄米品質と米飯食味で一般食用米とは明らかな識別性を備える。

[成果の活用面・留意点]
1. 飼料米及び子実重型稲発酵粗飼料用として利用が期待できる。
2. 耐倒伏性は強いが、極端な多肥では倒伏することもあるので、施肥レベルには留意する。
3. 縞葉枯病に罹病性であるので、常発地での作付けは避ける。
4. 白葉枯病に弱いので、常発地での作付けは避ける。
5. いもち病真性抵抗性が不明であるので、病原菌のレースの変化に注意する。


[具体的データ]

表1.関東飼226号の特性

[その他]
研究課題名:直播適性に優れた高生産性飼料用稲品種の育成
課題ID:212-a
予算区分:基盤、高度化飼料米、えさプロ
研究期間:1999〜2007年度
研究担当者:平林秀介、根本博、安東郁男、加藤浩、太田久稔、佐藤宏之、竹内善信、石井卓朗、前田英郎、井辺時雄、出田収、平山正賢、岡本正弘、西村実、八木忠之、梶亮太

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