高温登熟条件下において「コシヒカリ」の玄米品質を向上させる圃場条件


[要約]
高温登熟条件下において乳白粒及び背白粒の発生を抑制し、玄米品質を向上させるためには、中干し以降の日減水深を20mm程度にする透水性の改善と根圏域の確保が有効である。

[キーワード]高温登熟、コシヒカリ、玄米品質、減水深、作土深

[担当]茨城農総セ・農研・水田利用研究室
[代表連絡先]電話:0297-62-0206
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
  近年、水稲登熟期の高温化による玄米の外観品質低下や充実不足が全国的な問題となっている。茨城県では2002年に乳白粒が多発し、「コシヒカリ」の1等米比率が著しく低下した。このため、登熟期の高温に耐えうる栽培技術の開発が求められている。
  そこで、高温登熟条件下において玄米品質の変動に関わる栽培要因の解明を行った。

[成果の内容・特徴]
1. 乳白粒の発生は日減水深が大きいと減少する傾向が認められ、乳白粒が少ない年次では登熟期の日減水深が20mm程度になるとほとんど発生しない(図1)。
2. 日減水深が10mm程度の圃場に弾丸暗渠を施工すると、中干し以降の日減水深が20mm程度に増大し、根の生育が発達する(図2図3)。
3. 弾丸暗渠施工圃場で栽培を行うと、自然登熟条件下では、慣行栽培と品質上の差は認められないが、高温登熟条件下では玄米品質の向上効果が認められる(表1)。
4. 根圏域の深さを5〜21cmに制限した条件下では、根圏域が深くなるほど乳白・背白粒の減少が認められ、特に高温登熟条件下ではその傾向が顕著である。また、根圏域の深さが15cm以下では、浅くなるほど収量が低下傾向を示す(図4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 白未熟粒は乳白粒、心白粒、背白粒、基白粒、腹白粒を合わせたものである。
2. 弾丸暗渠の効果は、中干し前の日減水深が5〜10mm程度の湿田における結果である。施工は毎年4月上旬に行い、本暗渠と直交に2m間隔で深さ30cmに設置した。
3. 暗渠施工田では水甲を調節し、登熟期に適正な圃場透水性を確保するよう努める。
4. 根圏域の制限は代かき時に防根透水シートを張った板を敷いて行った。


[具体的データ]

図1 登熟期における減水深と乳白粒の関係 図2 圃場の減水深 (2002〜2005年)
図3 出穂期における根の層位別重量割合(2002、2003年)
表1 弾丸暗渠の施工と品質、収量の関係(2004〜2006年)
図4 作土深と品質、収量の関係(2005、2006年)

[その他]
研究課題名:地球温暖化に対応した水稲の高温登熟障害軽減技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2001〜2006年度
研究担当者:田中研一、狩野幹夫

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