小麦作におけるネズミムギ被害の達観調査指標


[要約]
小麦成熟期におけるネズミムギの発生状況を、達観調査基準に基づき評価ランクを決定する。評価ランクごとの減収率の指標を活用することにより、労力のかかるネズミムギの発生量調査や小麦の収穫調査をすることなく、ネズミムギによる被害を簡易に査定することができる。

[キーワード]達観調査指標、小麦作、ネズミムギ、雑草害、被害査定

[担当]静岡農林研・栽培技術部・土地利用型
[代表連絡先]電話:0538-36-1554
[区分]関東東海北陸農業・水田作畑作
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
  近年、水田転換畑の小麦作においてネズミムギが侵入雑草として蔓延し問題となっている。被害実態の定量化と適切な防除対策立案には、地域レベルでの雑草害の把握が重要であるが、圃場別の小麦の収量調査やネズミムギの発生量調査には多大な労力を必要とし、広域の調査は困難である。そこで、ネズミムギによる被害を簡易に査定することを目的とし、達観調査による調査指標の活用を図る。

[成果の内容・特徴]
1. 調査基準は、小麦成熟期における圃場一筆単位のネズミムギ発生量の達観評価によるものであり、圃場内における特別な調査を必要としない(表1)。
2. 達観評価ランクとネズミムギの乾物重との間には、明瞭な関係が認められる(図1)。
3. 評価ランク「無」・「微」・「少」では小麦収量への影響は小さいが、「中」以上はネズミムギによる雑草害が大きい。「甚」では50%〜90%の減収率となる(図2)。
4. 各評価ランクの減収率推定値を用いて、広域におけるネズミムギの雑草害による小麦減収量の査定が可能である(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 広域を対象とした被害査定により、ネズミムギによる経済的損失が明らかになる。
2. 評価ランクによって被害圃場を類別化することにより、ランクに応じた適切な防除対策を講じることが可能となる。
3. 湿害等の雑草害以外の要因による減収が見られる圃場については、評価の精度が低下するため、注意が必要である。


[具体的データ]

表1 雑草量(ネズミムギ)の達観調査基準
図1 評価ランクとネズミムギ乾物重との関係 図2 ネズミムギ乾物重と小麦減率との関係
表2 各評価ランクにおける減収率の指標

[その他]
研究課題名:水田・畑作における難防除雑草制御技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2004〜2007年度
研究担当者:稲垣栄洋、木田揚一、石田義樹、鈴木智子、足立有右、市原実、
                  山下雅幸、澤田均(後の5名は静岡大学)

目次へ戻る