土壌診断に基づく被覆肥料施肥によるハウス栽培コマツナの減肥高品質化


[要約]
ハウス栽培コマツナにおいて、土壌中窒素基準量から作付け前土壌中無機態窒素量を差し引いた診断施肥量に対して、25%減肥したリニア40日タイプ被覆肥料を施用すると、可食部中の硝酸イオン濃度が低下し、グルコース・アスコルビン酸濃度が上昇する。

[キーワード]作付け前土壌中無機態窒素量、土壌診断施肥

[担当]埼玉農総研・農産物安全性担当
[代表連絡先]電話:0480-21-1113
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  作物中の硝酸イオンは過剰な窒素施肥によって高濃度化することが知られており、環境保全的見地からも硝酸イオン濃度低減化技術が求められている。また、窒素施肥量とグルコース等の品質関連成分濃度の関係が注目されるようになった。
  そこで、コマツナのハウス栽培において、土壌診断施肥と被覆肥料施肥による、硝酸イオン濃度低減効果の高い施肥技術の確立を行うとともに、窒素施肥量と品質関連成分(グルコース・アスコルビン酸)濃度に関する新たな知見を得る。

[成果の内容・特徴]
1. 窒素施肥量は次式のとおり、土壌診断施肥により算出する。
  施肥窒素量=土壌中窒素基準量−作付け前土壌中無機態窒素量
  減肥区の施肥窒素量=(土壌中窒素基準量−作付け前土壌中無機態窒素量)×0.75
ここでいう 土壌中窒素基準量(目標収量を確保できる土壌中窒素量)は、春および秋まき栽培:12kg/10a、夏まき栽培:10kg/10a、冬まき栽培:15kg/10aである(平成15年度研究成果情報より)。
2. 秋まき栽培では、リニア40日タイプ被覆肥料(被覆燐硝安加里)の25%減肥で目標収量を達成し、速効性肥料(燐硝安加里)と較べて硝酸イオン濃度が低下する(図1)。
3. 冬および春まき栽培では、リニア40日タイプ被覆肥料の25%減肥またはリニア70日タイプ被覆肥料を使用すると目標収量を達成し、速効性肥料より硝酸イオン濃度が低下する(図1)。 リニア70日タイプ被覆肥料の場合は、二連作でも収量、硝酸イオン濃度の条件を満たすことが可能であるが、2作栽培期間中の窒素成分溶出率が約65%(表1)と残存量が多いので、適度な溶出特性を持つリニア40日タイプのほうが推奨される。
4. コマツナの可食部中硝酸イオン濃度が低い程、アスコルビン酸およびグルコース濃度が高くなる傾向がみられ(図2)、硝酸イオン濃度低減化栽培は高品質化に有効である。

[成果の活用面・留意点]
1. 比較的土壌窒素発現量の少ない細粒褐色低地土の結果であり、土壌窒素発現量の多いほ場では効果が小さい可能性がある。
2. コマツナの目標収量は、「農業生産と農村生活の指導手引 野菜編(埼玉県農林部発行)」を基に設定した。


[具体的データ]

図1 ハウス栽培コマツナにおける各処理区の収穫時可食部硝酸イオン濃度および株重
表1 基肥一回施用二作連作栽培におけるコマツナ栽培期間中の被覆肥料の窒素成分溶出率および日平均地温の積算 図2 ハウス連作栽培におけるコマツナの可食部硝酸イオン濃度とアスコルビン酸およびグルコース濃度の関係

[その他]
研究課題名:低硝酸塩栽培下における葉菜類の品質コントロール技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2005〜2006年度
研究担当者:杉沼千恵子

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