近赤外分光法を用いた生ごみ堆肥の脂質含量の測定


[要約]
近赤外分光法により、生ごみ堆肥の作物生育阻害の指標である脂質含量を標準誤差1.24%で測定できる。この方法は、試料の脂肪酸組成の変動の影響を受けにくい。

[キーワード]近赤外分光法、生ごみ堆肥、脂質

[担当]三重科技セ・農業研究部・循環機能開発研究課
[代表連絡先]電話:0598-42-6357
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  近年、食品廃棄物の循環利用のために、事業所や家庭から排出される生ごみの堆肥化が注目されており、電動式生ごみ処理装置の普及が進んでいる。しかし,生ごみ堆肥の中には、農作物の生育に悪影響を及ぼすものがあり、その原因のひとつとして堆肥中の脂質が知られている。そのため、生ごみ堆肥の品質基準の一項目として、脂質含量の上限値を定めている任意団体もある。脂質含量は、通常ジエチルエーテル等を用いた抽出法により測定されているが、簡便性・即応性に欠ける。そこで、近赤外分光法を用いて生ごみ堆肥の脂質含量を測定する簡便な評価法を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 学校、社員食堂、給食センター、家庭、飲食店および病院において製造される生ごみ堆肥の脂質含量には大きなばらつきがあり、任意団体の自主基準(例:5%以下、全国食品リサイクル協会)を超えるものも多い(表1)。
2. 乾燥・粉砕した生ごみ堆肥の反射スペクトルを近赤外分光計により測定し、二次微分スペクトルデータにより推定したデータとジエチルエーテル抽出法による脂質含量の測定値の適合性を検定した際のSEP(検量線評価時の標準誤差)は1.24%である(図1)。
3. 生ごみ堆肥の脂肪酸組成は変動が大きい(図2)が、近赤外分光法による推定値は脂肪酸組成の変動の影響を受けにくい(図1に脂肪酸組成が他と大きく異なる病院Aのデータを白丸で図示)。
4. 本法は、一検体あたり前処理を含め20分程度の測定時間であり、従来のジエチルエーテル法に比べ短時間で測定が可能である。

[成果の活用面・留意点]
1. 三重県および神奈川県で製造された生ごみ堆肥88点についての結果である。


[具体的データ]

表1 三重県および神奈川県で収集した生ごみ堆肥の脂質含量
図1 検量線評価時における近赤外分光法による生ごみ堆肥の脂質含量の測定精度 図2 生ごみ堆肥の脂肪酸組成

[その他]
研究課題名:生ごみ処理物を利用した高品質融合コンポスト製造システムの開発
予算区分:高度化事業
研究期間:2004〜2006年度
研究担当者:村上圭一、藤原孝之、竹本 稔(神奈川農技セ)、藤原俊六郎(神奈川農技セ)
発表論文等:Fujiwara et al. (2007), Japan Journal of Food Engineering 8(1): 21-28

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