アイリスイエロースポットウイルスによるニラえそ条斑病(新称)の発生


[要約]
栃木県で発生したニラの白斑症状は、アイリスイエロースポットウイルス(IYSV)による新病害である。IYSVは、ニラに全身感染するが汁液伝染の可能性は低い。

[キーワード]ニラ、えそ条斑病、IYSV

[担当]栃木農試・環境技術部・病理昆虫研究室
[代表連絡先]電話:028-665-7149
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(病害)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  本県の主要なニラ産地で、夏季、葉に白斑症状を呈する原因不明の病害が発生し、品質低下の主因となっている。被害圃場では、大量のネギアザミウマが捕獲されたことから、アイリスイエロースポットウイルス(IYSV)の関連が推察された。そこで、本病害の病原ウイルスを同定するとともに、ニラ体内での分布や刃物による汁液伝染の有無を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. ニラえそ条斑病に罹病したニラは、葉身に退緑斑やえそ条斑を呈する(図1)。
2. 罹病葉からRT-PCR法によりIYSVの遺伝子断片が増幅され、ネギアザミウマ伝搬試験により病徴も再現されたことから、本病の病原ウイルスはIYSVである。
3. 栃木県内の主要なニラ産地でニラえそ条斑病が広く発生しており、同じAllium 属植物のネギ及びタマネギでも高率に発生している(表1)。
4. 病徴発現1か月後のニラを部位別にRT-PCR法で検定すると、発病葉、上位葉(無病徴)、鱗茎及び根からIYSVが検出される。また、発病茎と同一個体の無病徴茎の葉、鱗茎、根からもIYSVが検出され、IYSVはニラで全身感染している(表2)。
5. IYSV罹病ニラの刈り取り後に展開した新葉には病徴は認められない。
6. 発病株を刈り取った刃物でポット植えニラを連続して刈り取り、1か月後に再生した葉を観察すると、えそ条斑病による病徴は認められず、RT-PCR法でもIYSVが検出されないことから、ニラでの汁液伝染の可能性は低い(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. IYSV感染株であっても再生葉では病徴を示さない可能性が高いが、IYSVの系統や品種間差異も含めて、今後更なる検討が必要である。


[具体的データ]

図1 ニラえそ条斑病の病徴 表1 IYSVの発生状況(2005年,2006年)
表2 RT−PCR法による発病株の部位別IYSV検出
表3 汁液伝染の有無

[その他]
研究課題名:ニラえそ条斑病の発生生態の解明及び防除技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2007〜2010年度
研究担当者:福田 充、中山喜一、森島正二、大関文恵
発表論文等:1)福田ら (2007) 日植病報73:311-313
                  2)福田ら (2007) 関東病虫研報54:43-46

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