コムギ縞萎縮病ウイルスのRT-LAMP法を用いた高感度な検出


[要約]
RT-LAMP法を用いることで、コムギ縞萎縮病ウイルスを高感度に検出できる。この方法は、DAS-ELISA法と比較し1,000倍検出感度が高い。

[キーワード]コムギ、縞萎縮病、ウイルス検出、RT-LAMP法

[担当]三重科技セ・農業研究部・循環機能開発研究課
[代表連絡先]電話:0598-42-6354
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(病害)
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
  コムギ縞萎縮病は、土壌微生物媒介性のウイルス病害である。コムギの栽培面積の増加とともに、本病害の発生面積も増加し問題となっている。現在、コムギ縞萎縮病ウイルスの検出には、DAS-ELISA法やRT-PCR法による検出法が開発されているが、より簡易に短時間で検出できるように、RT-LAMP法による検出法を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. RT-LAMP反応は、増幅対象領域をはさむ6ヶ所の塩基配列をもとに設計した4種類のプライマーセット(表1)、およびRNA増幅試薬キット(栄研化学株式会社)を用いる。
2. RT-LAMP法は、コムギ葉0.04g(約20mm×5mm)を、緩衝液(NaCl 8g、KCl 0.2g、Na2HPO4・12H2O 2.9g、KH2PO4 0.2g、DW 1000ml、Tween20 0.5ml、pH7.4)100μlで磨砕後、緩衝液700μl追加(原体×20)したものをそのまま反応に用いることができるため、コムギから遺伝子の抽出・精製を行う必要がなくPCR法より簡易である。
3. RT-LAMP反応により遺伝子が増幅すると、蛍光・目視検出試薬により蛍光発色するので、60分後にチューブを目視するだけで判定できる(図1)。
4. RT-LAMP法の検出感度は、DAS-ELISA法と比較し1,000倍高い(図2)。
5. 6葉期から出穂期頃に採取したコムギ葉95検体(13市町、10品種)の最上位葉から第2葉または止め葉を用いて、DAS-ELISA法とRT-LAMP法による検出比較を行った結果、DAS-ELISA法が陽性(43件)でRT-LAMP法も陽性になったのは、90.7%(39件)でほぼ一致する(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. コムギ縞萎縮病ウイルスを検出することにより、適切な被害軽減対策を講じることができる。
2. RT-LAMP反応はきわめて検出感度が高いので、試料、反応液の調製に当たってはコンタミネーションの無いように注意する。また、反応液の調製は氷上で行う。
3. RT-LAMP反応時間は60分とする。60分を超えると非特異反応が起こることがある。
4. RT-LAMP法を用いた検出を研究目的以外で行う場合は、栄研化学株式会社に対し、RT-LAMP法に関する特許の実施許諾契約が必要となる。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:イネ・ムギにおける初中期病害虫の防除対策の確立
予算区分:県単
研究期間:2005〜2007年度
研究担当者:鈴木啓史、黒田克利

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