アルファルファタコゾウムシは本州中部・北部で分布を拡大している


[要約]
本州中部、北部の16県179地点でアルファルファタコゾウムシの発生状況を調査した結果、福井県、富山県、石川県、山梨県ならびに長野県において新たに発生を確認した。本州の分布北限地域では2003年から2006年の間に北へ約60km分布が拡大している。

[キーワード]アルファルファタコゾウムシ、レンゲソウ、アルファルファ、カラスノエンドウ、マメ科植物、分布拡大

[担当]中央農研・総合的害虫管理研究チーム
[代表連絡先]電話:029-838-8939
[区分]共通基盤・病害虫(虫害)、関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(虫害)
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
  レンゲソウ等マメ科牧草の重要害虫であるアルファルファタコゾウムシHypera postica の国内での分布は、九州各県から、しだいに北へと拡大しており、2003年には、関東以南の1都2府31県と北海道において発生が認められている。本種は低温耐性に優れ、さらに北へ分布が拡大することが予想され、アルファルファ等のマメ科牧草に対して被害を及ぼすことが考えられる。しかし、中部地方以北の東日本地域は、被害の顕著なレンゲソウの栽培面積が少ないこともあり、分布調査や生態に関する詳細な調査は、ほとんど行われていない。そこで、東日本地域におけるアルファルファタコゾウムシの分布状況を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 2006年4月中旬から5月下旬に、本州中部、北部179地点の主に休閑田のレンゲソウや畦畔のカラスノエンドウ、シロツメクサ(いずれもマメ科植物)を対象に、目視ならびに白色バットへの叩き落とし法によって生息状況を調査した。
2. 富山県、石川県、福井県、長野県、山梨県の5県で、新たにアルファルファタコゾウムシの発生を確認した(図1)。
3. これまでに発生が確認されている茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県の4県で、いずれの県も分布域が拡大している。今回発生が確認された茨城県、栃木県の最北地点は、それぞれ北茨城市磯原町(36°47’31.01”,140°43’20.89”)と大田原市羽田(36°54’37”,140°07’19”)で、2003年春の発生の最北地点(西茨城郡岩瀬町(現在,桜川市)と下都賀郡壬生町、神田ら、2004)と比較すると約60km北に位置しており、平均すると年20km程度、北へ分布が拡大している。
4. 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、新潟県では、アルファルファタコゾウムシの発生は確認できていない。
5. これまでの報告ならびに今回の調査結果から、わが国におけるアルファルファタコゾウムシの分布域は、2006年春の時点で、関東以南の1都2府36県と北海道である。

[成果の活用面・留意点]
1. 今後、本種の発生調査を行う場合、調査場所の選定や調査方法の参考となる。
2. 2名で20分程度調査しても発生が認められない場合は、未発生としている。
3. 発生量は調査地点によって大きく異なる。


[具体的データ]

図1  本州中部・北部におけるアルファルファタコゾウムシの分布(2006年春調査)

[その他]
研究課題名:土着天敵等を活用した虫害抑制技術の開発
課題ID:214-f
予算区分:基盤研究
研究期間:2006〜2010年度
研究担当者:山口卓宏、守屋成一、水谷信夫、角田 隆、東後晶子
発表論文等:山口ら(2007) 関東病虫研報 54:165-172.

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