狩猟者の出猟報告を活用したイノシシおよびシカによる農作物被害程度の推定


[要約]
イノシシ、シカについて、狩猟者の目撃率が農作物の被害程度と関係する。このことから、報告義務のある出猟報告データを活用することにより農作物被害の状況を把握することができる。

[キーワード]獣害、イノシシ、シカ、被害程度、出猟報告

[担当]三重科技セ・農業研究部・経営植物工学研究課
[代表連絡先]電話:0598-42-6354
[区分]関東東海北陸農業・病害虫(鳥獣害)
[分類]行政・参考

[背景・ねらい]
  イノシシ、シカによる農作物被害が増加している。これに対して、効果的な被害対策を講じるためには、集落等の地域を単位として、広域に被害状況を把握することが重要になっている。しかし、現在の被害状況は市町村単位の被害報告をもとにしており、被害の多い地域の特定やその被害程度を把握するためには、別途集落ごとの聞き取り調査など、大規模な調査が必要になり行政の負担が大きくなる。そこで、広範囲に獣害が発生している三重県をモデルとして、狩猟者の出猟報告情報を活用することにより、簡易な農作物被害状況の把握を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. イノシシ、シカの出猟報告をもとに、年間の出猟回数に対する目撃頭数から5kmメッシュ単位に目撃率を算出する。三重県では、平成14〜17年の4カ年における目撃率の平均値を5段階に分類し地図表示すると、イノシシでは志摩半島から伊賀地域にかけての県中央部が、シカでは伊賀地域から鈴鹿山脈にかけての脊梁地帯で目撃率が高い(図1)。
2. イノシシ、シカの農作物被害程度は、各集落における被害感覚を「深刻」〜「被害なし」の5段階で調査し、集落被害程度として図示する。イノシシは志摩半島を中心に伊賀地域にかけての集落、シカは伊賀地域を中心とした集落に被害程度が高い(図2)。
3. 集落被害程度と集落が含まれるメッシュの目撃率との関係は、集落被害程度が高いほど目撃率が高い(表1)。このことから、イノシシ、シカの各獣種については、各々の出猟報告情報をもとにした目撃情報から農作物被害の程度を推定することができる。

[成果の活用面・留意点]
1. この結果は、三重県における被害程度調査と狩猟者の出猟報告に基づくものである。
2. 狩猟者の出猟報告から農作物被害が高い地域を特定でき、重点的に被害対策を講ずるべき地域を明らかにできるなど、適切な被害対策構築に活用できる。
3. 目撃率を出猟報告から算出するためには、出猟ごとに目撃した頭数情報が必要になることから、届け出義務項目(場所、捕獲獣の種類、頭数)以外に目撃頭数の報告を必要とする。


[具体的データ]

図1 イノシシ、シカの目撃率 図2 イノシシ、シカによる集落被害程度(H18)
表1 集落被害程度に対する目撃率(イノシシ、シカ)

[その他]
研究課題名:集落機能を活用した農作物獣害対策技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2007〜2009年度
研究担当者:山端直人、糀谷 斉

目次へ戻る