コシヒカリの密播・露地・プール育苗法


[要約]
コシヒカリの密播・露地・プール育苗法は、箱当たり乾籾で250gを播種し、露地で無加温出芽した後、プールで育苗する方法である。育苗日数は25日で、播種期は育苗期間の平均気温が13℃以上となった頃、被覆期間は14〜18日間、プール期間は7日以上実施する。

[キーワード]育苗法、コシヒカリ、プール育苗、密播、無加温出芽、露地

[担当]新潟農総研・作物研究センター・栽培科
[代表連絡先]電話:0258-35-0836
[区分]関東東海北陸農業・北陸・水田作畑作
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  省力・低コスト技術として,従来のコシヒカリ稚苗移植よりも使用箱数を減らし,育苗資材や育苗及び移植作業労力の軽減を図るため、コシヒカリ密播・疎植栽培法について検討した。ここでは、水稲育苗資材の削減と育苗における軽労化を図るため、箱当たり乾籾で250gを密播し、パイプハウスを利用せず(露地)、無加温出芽、プールで育苗し、5月中旬以降の移植を目指す技術を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 作業手順は、播種後、露地に箱を並べ被覆資材で被覆し無加温出芽させ、苗の1葉期頃に除覆、湛水深を苗箱上1〜2cmのプール状態し、その後は水が無くなる前に補給しながら2葉期頃までプール育苗を行う。
2. 葉令が2葉以上になれば、安定的に最低マット強度が確保でき、機械移植が可能である(図1)。
3. 移植可能な葉令またはマット強度と初期生育から育苗日数は25日で、播種期は育苗期間の平均気温が13℃以上になった頃である(表1)。
4. 育苗管理法は、播種後、露地プール育苗予定地に箱を並べ、被覆資材で覆う。
5. 被覆資材は、シルバーポリトウ#80(上)とラブシート(下)、またはシルバーポリトウ#80(上)とミラーシート(下)の2重被覆で、最低マット強度が確保でき育苗が可能である(図3-a)。また、シルバーポリトウ#80とミラーシートの2重被覆は高温になりにくく、保温効果も高い(図2)。
6. 除覆時期はマット強度から苗の1葉期頃で、被覆期間は14〜18日間とする(表1図3-b)。プール期間は葉令やマット強度から7日以上必要で、移植時期は密播苗が慣行苗より充実度が劣ることから、2葉期頃とする(表1図1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 平坦部地域に適応する。
2. 最低マット強度は、苗取り板を使用し、田植機で移植可能な強度を1kgf(10×10cmの苗マット片の引きちぎり強度を測定)とした。
3. 苗資材は床土量2.5〜3リットル、覆土量1リットル、床土窒素量1g/箱で慣行稚苗並である。
4. 育苗場所は日当たりが良く、強風の当たらない場所を選ぶとともに、防風網や防風ネットを設置する。
5. 慣行稚苗並の播種量(乾籾140g/箱)、加温出芽後でも露地・プール育苗が可能である。
6. 密播・疎植による育苗及び移植の費用や時間の10a当たり削減効果は、農畜産物生産費統計(平成16年度)等から試算すると物財費は5.5〜8千円、労働時間は1.5〜2.2時間減少する。


[具体的データ]

表1 処理別の育苗期間と苗質・気温及び移植後の生育(2005〜2006)
図1 葉令とマット強度、プール期間(2005〜2006) 図2 被覆資材別の床土温度の推移
図3 被覆資材、除覆時期とマット強度(2004〜2006)

[その他]
研究課題名:無ハウス疎植による省力低コスト水稲栽培技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2004〜2006年度
研究担当者:市川岳史、東 聡志、奈良悦子、竹内 睦、坂口いづみ、金高正典

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