飼料稲跡大麦「ファイバースノウ」の栽培特性と硝子率を高めない越冬後追肥法


[要約]
飼料稲跡の大麦は播種までに余裕をもって排水対策を施工することができる。土壌水分の低下に伴い砕土率が向上し、出芽苗立ちも安定する。追肥作業の省力化のため被覆尿素肥料を用い、越冬後茎数に応じ施肥量を調節することにより、硝子率を高めない大麦生産が可能である。

[キーワード]大麦、被覆尿素肥料、飼料稲、砕土率、苗立ち、硝子率、越冬後茎数

[担当]新潟農総研・作物研
[代表連絡先]電話:0258-35-0893
[区分]関東東海北陸農業・北陸・水田作畑作
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  北陸地域の麦作は、水稲「コシヒカリ」跡の作付けが多く、排水対策や播種期の遅れから播種条件が悪化し、生育収量が不安定である。そこで、前作に「コシヒカリ」よりも収穫の早い飼料稲を取り入れ、飼料稲跡大麦「ファイバースノウ」の栽培特性および越冬後の追肥方法を明らかにし、高品質大麦の安定生産を図る。

[成果の内容・特徴]
1. 飼料稲を導入することで、大麦播種までに余裕をもった排水対策が可能となり、砕土率の向上と出芽および初期生育が改善され、収量も安定する(図1表1)。
2. 目標収量を400kg/10a、硝子率を40%以下に抑えるための越冬後追肥の目安は、窒素成分で3kg/10aの越冬後(消雪後)追肥に加え、茎立期と止葉抽出期の合計追肥量を窒素成分で3〜4kg/10a程度とする(図2)。
3. 茎立期および止葉抽出期追肥はリニア型被覆尿素肥料40日タイプの越冬後追肥で代替が可能であり、慣行栽培と同程度の収量、品質が得られる(表1)。また、越冬後の茎数が多い場合、追肥量を減らすことにより、硝子率を低く抑えられる(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 大麦の過剰生育または穂数不足を防ぐため、飼料稲跡であっても適期播種に努める。
2. 速効性肥料を追肥する場合、一時期の過剰な窒素吸収を防ぐため、茎立期と止葉抽出期の分施による追肥を基本とする。
3. 被覆尿素肥料にはリニア型40日タイプを用いる。また、越冬後(消雪後)追肥には穂数確保のため、窒素とカリを各成分3kg/10aを速効性肥料で同時に施用する。


[具体的データ]

図1 大麦播種までの作業日程と播種時の土壌条件 表1 前作の違いと土壌条件及び栽培特性
図2 追肥量と収量・硝子率の関係(2001〜2005年播種、縦棒は標準誤差n=11)
図3 硝子率と越冬後茎数及び被覆尿素肥料の施用量との関係(2003〜2006年播種)

[その他]
研究課題名:北陸における高品質大麦−飼料用イネ輪作システムの確立
予算区分:北陸大麦飼料用稲輪作
研究期間:2003〜2007年度
研究担当者:服部誠、佐藤徹、田村隆夫、市川岳史、湯川智行(中央農研・北陸研)
発表論文等:1)佐藤ら(2007)北陸作物学会報42:89-92
                  2)服部ら(2007)北陸作物学会報42:93-96

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