高温登熟下におけるコシヒカリの乳白・背基白粒発生と葉色、NSCの関係


[要約]
乳白粒の発生は出穂後20日頃の1籾あたりNSC含量が多いほど少なく、NSC含量は、出穂後10日頃と20日頃で葉色を比較した場合に葉色が濃くなるほど多く、葉色の低下が大きいほど少ない。また背基白粒の発生は出穂期の葉色が濃く玄米蛋白質含有率が高いほど少ない。

[キーワード]高温登熟、乳白粒、背基白粒、NSC

[担当]石川農総研・育種栽培研究部・作物栽培グループ
[代表連絡先]電話:076-257-6911
[区分]関東東海北陸農業・北陸・水田作畑作
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  石川県においては、近年登熟期の高温で乳白・背基白粒の発生による米品質の低下が見られ、高品質を確保できる安定生産技術の確立が求められている。そこで、登熟期に人為的に高温にし、乳白粒や背基白粒が多発生しやすい条件とした上で、葉色値(SPAD)、NSC(非構造性炭水化物)含量、玄米蛋白質含有率を調査し、それらと乳白・背基白粒発生との関係を解析する。

[成果の内容・特徴]
1. 乳白粒の発生は、出穂後20日頃の茎葉の1籾あたりNSC含量が多いほど少ない。なお、試験区のm2あたり籾数は25〜30千粒の範囲であり、乳白粒発生率とm2あたり籾数との間に相関関係は認められない(図1)。
2. 出穂後20日頃の1籾あたりNSC含量は、出穂後10日頃と20日頃で葉色を比較した場合、葉色が濃くなるほど多くなり、葉色の低下が大きいほど少なくなることから、乳白粒の発生は出穂後10日頃から20日頃にかけての葉色を維持することで軽減できると考えられる(図2)。
3. 背基白粒の発生は、出穂期の葉色が濃いほど少なく、玄米蛋白質含有率が高いほど少ない。良食味米生産の観点から玄米蛋白質含有率を6.0〜6.5%とした場合、出穂期の止葉SPAD値は31〜34が適当で、その際の背基白粒の発生は2〜4%となる(図3)。
4. 以上のことから、生育の前半から葉色を適正に誘導し、出穂期に止葉SPAD値で31〜34程度とすることにより背基白粒の発生を軽減でき、出穂後20日頃にかけて葉色を落とさず維持することにより乳白粒の発生を軽減できる。

[成果の活用面・留意点]
1. 本成果は、乳白・背基白粒の発生軽減のための対応技術に向けた基礎資料として活用できる。
2. 本試験は5月上旬に機械移植し、穂揃期から出穂後25日頃まで圃場に簡易ハウスを設置しビニル被覆し平均気温で約1℃上昇させた条件下での結果であり、通常の管理に比べ乳白・背基白粒が多発生した。


[具体的データ]

図1 登熟中期における1籾あたりの茎葉NSC 含量と乳白粒発生率との関係(2004、2005 年) 図2 登熟初期から中期にかけての葉色の差と1籾あたりの茎葉NSC 含量との関係(2004、2005 年)
図3 背基白粒発生率と出穂期の葉色および玄米蛋白質含有率との関係(2005、2006 年)

[その他]
研究課題名:地帯別1等米比率向上技術確立研究
予算区分:県単
研究期間:2004〜2007年度
研究担当者:小谷俊之、黒田晃、武田康一、桐山隆

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