イネの一次枝梗数を制御する遺伝子とその収量増加効果


[要約]
イネの一次枝梗数を制御するQTLの原因遺伝子OsPRB1 は、穂形態形成に関与するAPO1 と同一である。この遺伝子は、ササニシキ型に対して、ハバタキ型で一次枝梗数と一穂粒数を増加させ、これにより収量と収穫指数を増加させる。

[キーワード]イネ、収量、遺伝子、一穂粒数、一次枝梗、収穫指数

[担当]中央農研・稲収量性研究北陸サブチーム
[代表連絡先]電話:029-838-8300
[区分]関東東海北陸農業・北陸・水田作畑作
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
  高品質な米の増収を目的として、収量と登熟・品質の向上に関与すると考えられるイネの穂の一次枝梗数を決める遺伝子を単離し、その収量増加に対する作用を明らかにする。そのために、ハバタキとササニシキの戻し交配固定系統(農業生物資源研より分譲)を用いて、マップベースドクローニングを行い、一次枝梗数を指標として関与遺伝子の特定を行うと共に、収量および収量構成要素に及ぼす効果を検証する。

[成果の内容・特徴]
1. イネの一穂粒数と一次枝梗数に関与する第6染色体上のQTLの原因遺伝子OsPRB1 は、Os06g0665400 に相当する(http://rapdb.dna.affrc.go.jp/)(図1)。この遺伝子は、イネの穂の形態異常を起こす突然変異の原因遺伝子であるAPO1 と同一であり(Ikeda et al. 2007, Plant J. 51, 1030-1040)、シロイヌナズナのUFO 等の、双子葉植物の花の形態形成に関与する遺伝子と相同性を持つ。
2. OsPRB1 を含む領域の遺伝子型がハバタキ型の系統は、ササニシキ型の系統に較べて、一次枝梗数が12%〜13%増加し、一穂粒数も9%〜13%増加する。逆に、籾千粒重は2%〜3%減少するものの、減少程度が粒数の増加に較べて少なく、不稔粒割合にも差が無いため、水選により沈下した一株籾重は5%〜7%増加する(表1)。
3. 同様に、ハバタキ型の系統では、収穫指数が4%〜7%増加しており、乾物生産の穂への分配の増加によって、収量が増加する(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本研究の成果は、日本型稲の収量性増加等の品種改良に利用できる。


[具体的データ]

図1:一次枝梗数に影響を及ぼす遺伝子領域
表1:OsPRB1遺伝子を含む領域が分離した系統の収量構成要素。

[その他]
研究課題名:イネゲノム解析に基づく収量形成生理の解明と育種素材の開発
課題ID:221-c
予算区分:形態生理(2006-2007年度)
研究期間:2006〜2007年度
研究担当者:寺尾富夫、廣瀬竜郎
発表論文等:寺尾ら(2007)「イネの一次枝梗数に関連する遺伝子およびその利用」特許出願2007-046201

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