高温登熟条件下におけるコシヒカリ品質向上のための後期栄養維持施肥法


[要約]
リニア型被覆尿素を基肥の速効性肥料と配合して施用すると、出穂期以降も持続的に窒素が供給されるため、出穂期から成熟期にかけての葉色値の低下を抑制できる。高温登熟条件下では、慣行施肥に比べて白未熟粒の発生が少なくなり、外観品質が高まる。

[キーワード]高温登熟、リニア型被覆尿素、コシヒカリ、白未熟粒、外観品質

[担当]新潟農総研・作物研・栽培科・作物栄養
[代表連絡先]電話:0258-35-0836
[区分]関東東海北陸農業・北陸・土壌肥料
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  近年、高温登熟条件下において乳心白粒や基部未熟粒等の白未熟粒の多発による産米の品質低下や年次変動が大きくなっている。この背景には、良食味米生産のため窒素施肥を控える傾向にあること等によって稲体が生育後期に栄養凋落することが考えられる。
  これを回避するため、被覆肥料の窒素溶出パターンと高温登熟における産米品質の関係を検討し、品質向上のための施肥法を確立する。

[成果の内容・特徴]
1. 登熟初期に高温条件(日平均気温+1.3℃)を再現したハウス内では、出穂期から成熟期にかけての葉色値の低下が大きいほど白未熟粒が増加する(図1)。
2. 基肥の速効性肥料にリニア型被覆尿素を窒素成分で10a当り2kg配合して本田に上乗せ施用すると、出穂期以降も持続的に窒素が供給されるため、出穂期から成熟期にかけての葉色値の低下を抑制できる(図2)。
3. 本施肥法では、被覆尿素を施用しない慣行施肥に比べて基部未熟粒が減少し、整粒歩合が高まる傾向がみられる(図3)。
4. 収量は慣行施肥より高まる傾向がある。また、玄米タンパク質含有率はいずれのタイプでも高まるが、その差は小さい(図4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 新潟農総研内水田(沖積・細粒グライ土)において、田植の約2週間前に基肥を施用し、穂肥は速効性肥料を窒素成分で10a当り1.5kgずつ2回施用してコシヒカリを栽培した結果である。
2. 高温処理は、水田内にハウス(長さ8×幅1.5×高さ1.8m)を設置し、出穂5日後から約2週間ビニルを被覆して実施した。
3. 過剰生育や倒伏が懸念される場合は、基肥の速効性肥料を減肥する。
4. 高品質米生産のためには適期田植えや適正な水管理などの実践も大切である。


[具体的データ]

図1 葉色値の推移と白未熟粒の関係 図2 被覆尿素の窒素溶出と葉色値
図3 被覆尿素別の基部未熟粒歩合 図4 被覆尿素の種類別収量及び玄米タンパク質含有率

[その他]
研究課題名:高温生育条件下での品質劣化防止のための後期栄養管理法の開発
予算区分:気候温暖化
研究期間:2003〜2007年度
研究担当者:土田 徹、南雲芳文、高橋能彦

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