ディスク駆動式汎用型不耕起播種機の株間除草用レーキ装着による水稲あと小麦苗立ちの向上


[要約]
ディスク駆動式汎用型不耕起播種機の覆土ディスクの代わりに株間除草用レーキを装着すると、土壌が緻密な移植水稲あと栽培でも覆土が良好に行われるため、小麦の苗立率が向上する。

[キーワード]不耕起栽培、ディスク駆動式汎用型不耕起播種機、覆土、小麦、苗立

[担当]埼玉農総研・水田農研
[代表連絡先]電話:048-521-5041
[区分]関東東海北陸農業・作業技術
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
ディスク駆動式汎用型不耕起播種機による不耕起栽培技術については、高い省力性が実証されている。しかし、移植水稲あとの小麦栽培においては、苗立数の安定確保など栽培上の残された課題がある。
そこで、ディスク駆動式汎用型不耕起播種機を改良し、土壌が緻密で覆土量が不足する移植水稲あと小麦栽培において、安定した苗立が得られる覆土技術について検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 改善機は、市販機の覆土ディスクに代えて、株間除草用レーキを播種部と鎮圧輪の間に直列に2個装着する(図1)。
2. 2つのレーキは、それぞれすべてのタインが接地し、中央2本のタイン先端が播種溝に掛かるように播種機本体に取り付ける(図1)。
3. レーキは播種溝両側の広範囲に作用し、飛散土壌を効率的に収集する。このため、片側だけに作用する覆土ディスクに比べ、土壌表面が硬く覆土量が不足する移植水稲あとにおいて覆土精度が高い(表1)。
4. 改善機を用いると小麦の苗立ちが向上し(図2)、初期生育もやや向上する(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 株間除草用レーキはキュウホー社製H型を使用した。
2. 所内水田(細粒灰色低地土・宝田統)で、小麦「農林61号」を用いて得られた結果である。なお、前作水稲の収穫は10月中旬、播種試験は11月下旬にそれぞれ行った。
3. 生育および収量については単年度試験成績である。
4. 苗立率向上に伴う最適な播種量の検討が必要である。

[具体的データ]
図1 改善機に用いたH型レーキの写真と播種機の模式図
表1 作業精度  図2 苗立率の推移
表2 生育,収量および品質

[その他]
研究課題名:大規模主穀作での不耕起栽培による超低コスト均質化生産技術の確立と実証
予算区分:受託(担い手)
研究期間:2007〜2008年度
研究担当者:石井博和、関口孝司、岡田雄二

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