牛群検定情報データベースの構築による高度利用


[要約]
牛群検定情報データベース及び検定情報分析システムを構築することにより、効率的な成績表の作成が可能になった。また、牛群検定成績をインターネット等により送信することで、迅速なフィードバックが可能となった。

[キーワード]乳用牛、牛群検定

[担当]静岡畜研・大家畜部
[代表連絡先]電話:0544-52-0146
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
酪農家における生乳生産量、生乳品質の向上のために牛群検定の実施は必要不可欠だが、成績表が届くまで時間がかかり、フィールドで検定成績を利用する為には、高度な知識と労力等が必要である。そこで、牛群検定情報の解析(飼養管理、繁殖情報)方法の検討と迅速に酪農場で応用できるフィードバックシステムの確立を検討する。

[成果の内容・特徴]
1.

乳成分からの飼養管理、繁殖管理の解析手法の検討

@ 乳成分及び繁殖情報データベースの構築

鳥取県大山乳業協同組合の取組みを参考に、検定組合から送信される検定記録を基にデータベース(Microsoft Access)を構築した。

A 効果的な検定情報分析システムの構築

データベースより個別の検定成績表(表1図1)を作成するシステムを構築し、自動評価プログラムによる乳成分評価、繁殖成績評価及びコメントシートからなるファイル(Microsoft Excel)を作成する。

2.

牛群検定情報の早期フィードバック方法の検討

@ 各検定組合からの検定情報の早期取得方法の検討

検定組合からの検定情報(一次処理済データ)を迅速に取得するため、E-mailを使用することとした。

A インターネット等を介したデータフィードバック方法の検討

メール配信ソフトを使用した連絡網を配備し、検定成績表を検定組合員、所属検定組合及び農林事務所(家畜保健衛生所)に同時配信することにより、関係指導機関との情報の共有及び連携指導体制の構築を図る(図3)。

3. システムの普及
県内5検定組合のうち4ヶ所でシステムの利用を開始し、平成20年12月現在47農場で運用を開始しており、普及率は60.3 % (47/78)である。
また、生産者へのデータフィードバックは、サンプル採取後1週間以内を目標として実施している。
今後は、農場の本システム利用による経営改善効果を検証する予定である。

[成果の活用面・留意点]
1. 牛群検定データの評価・解析等に要する時間の大幅な短縮が可能である。
2. 自動評価が可能になったことで、評価者によらず生産者に同一基準の評価結果を返すことができる。
3. 牛群検定成績データをE-mailで送受信することにより、同一の情報を関係者全員に同時に迅速にフィードバックすることができる。
4. 検定情報を関係機関で共有することで、より効率的な生産者指導が可能である。

[具体的データ]
表1 自動評価プログラムの概要
図1 グラフ(乳成分のバランス)  図2 グラフ(分娩後日数と乳蛋白率)
図3 牛群検定情報の高度利用システムの概略とデータの流れ

[その他]
研究課題名:牛群検定情報の高度利用技術の検討
予算区分:県単
研究期間:2007〜2008年度
研究担当者:小林幸惠、山岸健二、赤松裕久、土屋貴幸、笠井幸治
発表論文等:山岸ら(2007)東海畜産学会報、第18巻1号:29

目次へ戻る