カーネーションの2年切り栽培における適正な切戻しの高さとかん水管理


[要約]
カーネーションの2年切り栽培における切戻しの高さは、切戻し後の芽整理の本数が少なく、株の生存率が高い10pが適している。切戻し前後のかん水管理は、切戻し前までかん水を継続することで、m2当り200本以上の生産本数が確保できる。

[キーワード]カーネーション、2年切り、かん水管理、切戻しの高さ

[担当]栃木農試・園芸技術部・花き研究室
[代表連絡先]電話:028-665-7071
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
カーネーション栽培は、種苗コストが高いことから2年間同一株を利用して種苗費を半減できる2年切り栽培が試みられている。しかし、切り戻しによる株枯れや芽の整理に労力がかかるなど問題もある。そこで、切り戻しの高さとかん水管理を検討し、低コストで省力的な2年切り栽培技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
1. 切戻し後の萌芽数は、切戻し高さが高いほど多くなり芽整理に労力がかかるため、切戻し位置は低いほうがよい。また、切戻し高さ15p、10pで切戻し後の株の生存率及びm2当り生産本数が多くなる(表1)。
2. 切戻し前後のかん水管理は、切戻し前までかん水を継続して行うことで、m2当り200本以上の生産本数が確保できる。その場合、切戻し後1週間のかん水の有無は大きな影響がない(表1表2)。また、その時の土壌水分は切戻し前はpF2.2、切戻し後の土壌水分はpF2.2〜2.5となる(図1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 品種は「バーバラ」を供試し、1区24株2反復で行った。作型は6月定植の周年栽培で、栽培2年次の切戻しは6月10日に行った。栽植密度は36株/m2(ベッド面積)とし、反射マルチを使用した。養水分管理は潅水同時施肥栽培で行った。
2. 切戻し2週間前から切戻し後1週間にかけては、かん水のみ行う。
3. 栽培2年次の仕立て本数は切戻しから約50日後に6本/株とし、8月下旬にその中の2本を修正ピンチする。
4. 栽培土壌は、表層多腐植質黒ボク土で行った。かん水量については栃木農試2004年度成績書をもとに設定したため、他の土壌では検討が必要である(表2)。

[具体的データ]
表1 処理区別栽培2年次の切り花品質、生産本数、株生存率及び萌芽数
表2 処理区別かん水管理
図1 かん水管理の違いによる切戻し前後のpF値の推移

[その他]
研究課題名:カーネーションの2年切り栽培技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2004〜2005年度
研究担当者:沼尾貴延、高沢 慎

目次へ戻る