夏秋系一輪ギク新品種「愛知夏黄1号(仮称)」の育成


[要約]
夏秋系一輪ギクの新品種「愛知夏黄1号(仮称)」を育成した。本品種は対照品種より生育が旺盛で、満開時の花径が大きく、無側枝性を持つ。切り花の外観は茎葉にボリューム感があり、葉は光沢のある立葉で草姿がよい。対照品種より到花日数が短く、6〜8月の自然日長条件下で7週以内に開花する。

[キーワード]一輪ギク、新品種、愛知夏黄1号(仮称)、夏秋系、黄色

[担当]愛知農総試・東三河農業研究所・花きグループ
[代表連絡先]電話:0532-61-6235
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
本県は全国有数の一輪ギク産地であるが、近年は販売価格の低迷が続き、生産者及び市場からは商品性の高い品種の育成が求められている。現在の夏秋系黄色一輪ギクは花径が小さい、切り花重が軽い、到花日数が長い等欠点のある品種が栽培されているが、これらの欠点を克服した夏秋系黄色一輪ギク新品種を育成する。

[成果の内容・特徴]
1. 育成経過は2003年に花径の大きい県育成系統01-J-23-16を種子親、濃黄色の県育成系統02-J-99-01を花粉親とした交配を行った。得られた実生について開花調査と選抜を繰り返し、現地試作で1系統を選抜した。この系統について営利生産規模の試作及び市場性評価を行った結果、実用品種として有望と判断し、2008年11月をもって育成を完了した(図1)。
2. 茎長は「精の輝」「精の曲」より長く、旺盛な生育を示す。70cm切り花重は「精の曲」より重く、「精の輝」よりやや軽い。花色は明黄色で、満開時の花径は「精の輝」「精の曲」より大きい。強い無側枝性を持ち、省力的に栽培できる。(表1)。
3. 切り花の外観にはボリューム感があり、観察上、光沢ある立葉で草姿が良い(図2)。
4. 到花日数は「精の輝」より2〜3週間、「精の曲」より1〜2週間早い(図3)。自然日長下においても7週以内に開花する。

[成果の活用面・留意点]
1. 6〜8月開花の作付けに適する。
2. 電照による花芽分化抑制が不安定な場合があり、柳芽が発生することもあるが、親株摘心時にエテホン液剤(商品名:エスレル10)500倍液を散布することにより抑制可能である。エテホンを含む農薬の総使用回数は3回までとする。
3. 本品種は愛知県と愛知県花き温室園芸組合連合会きく部会との共同育成品種であり、育成者権の持ち分比率は1/2ずつとする。品種登録出願公表後1年間は愛知県外への栽培許諾は行わない。

[具体的データ]
図1「愛知夏黄1号(仮称)」の育成過程
表1 「愛知夏黄1号(仮称)」の栽培特性(7月開花)
図2「愛知夏黄1号(仮称)」  図3 7月開花における到花日数

[その他]
研究課題名:一輪ギクの品種改良
予算区分:県単
研究期間:1996〜2008年度
研究担当者:青木献、奥村義秀、長谷川徹、山本雅春、石川高史、西尾讓一、小久保恭明、加藤博美、近藤満治、野村浩二


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