茶園におけるマダラカサハラハムシの被害特性


[要約]
マダラカサハラハムシの成虫による被害は通常、秋芽に多く発生するが、希に翌春まで生存した成虫により一番茶芽にも被害が発生する。一番茶芽の被害では、加害部の上位に位置する新葉が枯死する症状が見られる。茶園内における被害は局部的である。

[キーワード]チャ、マダラカサハラハムシ、被害、捕獲消長

[担当]静岡農技研(茶研セ)・生産環境(病害虫)
[代表連絡先]電話:0548-27-2311
[区分]関東東海北陸農業・茶業
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
マダラカサハラハムシ成虫による茶の被害が一部地域で常発している。これまでの本種による被害特性は観察による記述が多く詳細な記録が無いため、被害特性を明らかにし防除対策を確立するための基礎資料とする。

[成果の内容・特徴]
1. 秋芽での被害が多く、葉脈や葉面に孔、および茎や葉柄に半円形の陥没食害痕ができ、陥没が深ければ被害部分を境に茎が折れる(図1)。新梢では若い葉ほど、被害率が高い(図2)。茶園内における被害は局部的である(データ省略)。
2. 成虫は8〜10月に捕獲され(図3)、8月には羽化直後と推定される体色の赤い成虫が混じる(データ省略)。夏から秋に羽化した成虫が秋芽を加害すると推定される。
3. 野外においては、前年秋から翌年5月まで生存する成虫の比率は低い(図4)。
4. 一番茶芽では秋芽と同様の被害の他、半円形の陥没食害痕が浅い場合でも、被害部の上に位置する新葉が、その先端から中央部にかけて褐変し枯死する症状がみられる(図1)。茶園内における被害は局部的である(データ省略)。一番茶芽での被害は、前年に羽化し翌春まで生き延びた成虫による被害と考えられる。

[成果の活用面・留意点]
1. 本種による被害は、ヨモギエダシャクの若齢幼虫の食害痕に似るが、茎を食害する点で本種の被害とヨモギエダシャクの被害を区別できる。
2. 本種による被害を確認したら早期に防除する。

[具体的データ]
図1 秋芽の被害(左)と一番茶芽の被害(右)
図2 秋芽被害芽における着位葉別被害葉率  図3 叩き落とし調査により落下した成虫数
図4 冬期の野外における成虫の生存率の推移

[その他]
研究課題名:チャ害虫マダラカサハラハムシの発生生態の解明
予算区分:国庫・食の安全安心
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:吉崎真紀、小澤朗人

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