圃場におけるイネいもち病菌の病原性突然変異頻度は10-5のオーダーである


[要約]
いもち病菌の病原性突然変異頻度は、水田圃場では4.7〜8.8×10-5、畑晩播圃場では1.6×10-5である。圃場における突然変異頻度は、10-5のオーダーと推定される。

[キーワード]イネいもち病菌、真性抵抗性、病原性変異菌、突然変異頻度

[担当]中央農研・病害抵抗性研究チーム
[代表連絡先]電話:025-526-3242
[区分]関東東海北陸農業・北陸・生産環境、共通基盤・病害虫(病害)
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
真性抵抗性を導入したイネ品種・系統を持続的に利用するためには、いもち病菌の侵害レースの出現や定着の予測法の開発が必要である。しかし、それに不可欠な病原性突然変異頻度は十分明らかではない。そこで、圃場における突然変異頻度を求める。

[成果の内容・特徴]
1. 水田圃場における突然変異頻度は、2006年の試験では4.7×10-5、2007年の試験では8.8×10-5である(表1)。
2. さらに、畑晩播圃場で推定した突然変異頻度は、2007年の試験では1.6×10-5である(表2)。
3. 以上から、圃場における突然変異頻度は10-5のオーダーと推定される。

[成果の活用面・留意点]
1. いもち病菌の侵害レースの出現予測法の基礎データとなるだけでなく、個体群動態の解明に寄与する。
2. 特異的DNAマーカーで識別可能な菌株(OS99-G-7a)を供試し、在来菌と区別している。
3. 真性抵抗性遺伝子 Pita を持つ品種に対する結果である。
4. 試験方法は、高橋ら(2008)を参照する。

[具体的データ]
表1 水田圃場における病原性突然変異頻度
表2 畑晩播圃場における病原性突然変異頻度(2007年)

[その他]
研究課題名:食用稲における病害抵抗性強化のための遺伝子単離と機作の解明
課題ID:221-f
予算区分:基盤
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:高橋真実、芦澤武人、平八重一之、森脇丈治
発表論文等:高橋ら(2008)北陸病虫研報 57:11-17

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