DVIで判定するシアナミド剤処理時期とニホンナシ「幸水」の生育前進


[要約]
露地・ハウス栽培のニホンナシ「幸水」に、DVI(発育指数)値1.0時にシアナミド剤の散布を行うと、開花が前進され、収穫期も早めることができる。

[キーワード]ニホンナシ、幸水、DVI、シアナミド、開花、収穫

[担当]三重農研・園芸研究課
[代表連絡先]電話:0598-42-6358
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
ニホンナシ「幸水」の露地栽培では収穫時期を盆前需要期に合わせること、ハウス栽培では早期出荷することが販売単価から有利となる。加温ハウス栽培では近年の燃料等資材の高騰に対応し、収穫期を遅らせず燃料消費量を節減しながら品質の高い果実を生産することが重要となっている。そこで、生育前進をはかるためのシアナミド剤の効果を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 「幸水」へのシアナミド10%剤10倍液の休眠期処理は開花期、収穫期を前進させる(表1図1)。DVI 1.0時の処理効果が安定しており、開花期を2〜3日前進させ、無処理の50%収穫時には15〜20%収穫率を高める。
2. 処理効果は露地、ハウス栽培ともに認められる。
3. シアナミド剤の処理による果実品質への影響は認められない(表2

[成果の活用面・留意点]
1. ナシ「幸水」に対するシアナミド剤の効果的な使用技術となる。
2. DVIは、杉浦ら(1997)に従い、三重県ではアメダスポイント「津」のデータにより農業研究所および中央農業改良普及センターで算出し、情報提供している。DVIが所定の値に達する日は地域やその年の気象条件により前後する。
3. 樹勢の弱い樹や枝では、シアナミド剤の処理により枝が枯死することがあるので使用は避ける。

[具体的データ]
表1 シアナミド剤処理zが「幸水」の満開日に及ぼす影響
図1  シアナミド剤の処理時期の違いが「幸水」の累積収穫率に及ぼす影響
表2 シアナミド剤の処理が収穫盛期の「幸水」の果実品質に及ぼす影響
[その他]
研究課題名:東海地域における原油価格高騰対応施設園芸技術の開発他
予算区分:実用技術
研究期間:2006〜2009年度
研究担当者:西川豊、大野秀一、三井友宏、田口裕美

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